2012年1月8日

怪しく眩く輝く、美と官能の世界。『ジャン=ミシェル オトニエル:マイ・ウェイ』展

まるで宝石箱の中に迷い込んだよう。ジャン=ミシェル オトニエルの作品はいずれも美しく鮮やかな輝きを放っており、美術館がさながら巨大なジュエリーが散りばめられたジュエリーボックスのようです。

『ラカンの大きな結び目(La Grand Double Nœud de Lacan)』。高さ2mはあろうか

7日から原美術館(東京・品川)で開催されている『ジャン=ミシェル オトニエル:マイ・ウェイ』展は、フランスを代表する現代美術作家、ジャン=ミシェル オトニエルの日本における初の個展となります。初期作品を含め、近年の大型立体作品を含め、およそ60点を公開しています。本展はパリのポンドゥセンターで開催され、3ヶ月で20万人を動員したオトニエルの回顧展を原美術館の邸宅空間にあわせて再構成したもの。

『ジャン=ミシェル オトニエル:マイ・ウェイ』展は3月11日まで

オトニエルの作品の最大の特徴はガラス。とりわけ「私のベッド」の天蓋部分のようにさまざまな立体作品に使われているムラーノ・ガラスは、ジュエリーのような輝きを放っており、見るものを惹きつけて離しません多くの女性にとってはまさにワクワクする空間ではないかと思います。ヴェネツィアン・グラスを代表するムラーノ・ガラスはイタリアのムラーノ島で制作されているもので、コバルトやマンガンといった鉱物を混ぜることで、さまざまな色合いを表現することができ、本作品でもその特徴が遺憾なく発揮されています。

「私のベッド(Mon Lit)」。ムラーノガラスでできた天蓋部分がまるでガラスの城のよう
「私のベッド」を上から見下ろす

また、「ラカンの結び目」、「ラカンの大きな結び目」のように鏡面ガラスを使った作品も特徴的で、どこか未来的な曲線のフォルムに連ねられたガラスの透明感にメタリックな輝きが加えられ、鏡面に写しこまれた鑑賞者をその小さな球体に閉じ込めてしまうような魔力のような怪しささえ持っています。

『ラカンの大きな結び目』。鏡面ガラスを使った抽象的で未来的な
フォルムが3DCGから現実世界に飛び出てきたような印象を与えます

「涙(Lagrimas)」。まさに涙が立体になったようなフォルム
「涙」にはまるで海が閉じ込められたかのよう

オトニエルと原美術館の関係は深く、1991年に別館でのハラ ミュージアム アーク(群馬・渋川)において行われた「Too French」展での滞在制作にさかのぼります。残念ながらわずかな記憶しかないのですが、この時、僕も作品を拝見しています。その後、オトニエルは、2009年に同館の庭に大型野外作品「Kokoro」を設置しています。真っ赤なムラーノガラスが連なって描く抽象的なフォルムは、ある方向から見れば大きなハートに見える不思議な造形をしています。真っ赤なハートが、深い傷を負った日本にとってはオトニエルの優しさが心に沁みる作品です。

オトニエルの作品をAR(拡張現実)を使って再現するコーナーも

オトニエルの作品をイメージしてピエール・エルメが作ったスイーツ

『ジャン=ミシェル オトニエル:マイ・ウェイ』展は原美術館で3月11日まで開催されています。入館料は一般1,000円、大高生700円、小中学生500円。詳しくは同館のウェブサイトをご確認ください。