2013年11月30日

これは神戸に行くしかない! 巡回展なしの『ポンピドゥー・センター・コレクション展』が1月開催

年明け2014年1月18日(土)より、最新の現代美術作品を集めた『ポンピドゥー・センター・コレクション フルーツ・オブ・パッション』展兵庫県立美術館において開催されます。ニューヨーク近代美術館と並んで、近現代美術における世界的な拠点として知られる、フランス・パリにあるポンピドゥー・センターのパリ国立近代美術館に所蔵されている最先端の現代美術作品を紹介する展覧会です。


ポンピドゥー・センター外観
© Centre Pompidou / Georges Meguerditchian


今回、紹介される作品は同館が友の会からの寄贈によって取得した19作家25点で、イザ・ゲンツケン、エルネスト・ネト、ツェ・スーメイ、レアンドロ・エルリッヒらヴェネツィア・ビエンナーレといった国際的な美術展で評価を得ている、もっとも注目されている作家が登場します。さらにダニエル・ビュレンやサイ・トゥオンブリー、ゲルハルト・リヒターといった現代美術の巨匠と言える6人の作家の作品6点も合わせて紹介するものです。


《私たちはあの時ちょうどここで立ち止まった》エルネスト・ネト 2002 © Ernesto Neto
Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI / Georges Meguerditchian - /Dist. RMN-GP

《エコー》ツェ・スーメイ 2003 ©Su-Mei Tse

たしかに興味深い展覧会なのですが、わざわざ神戸までいかなくとも東京での巡回を待っても遅くないでしょうと思った方。残念! 本展はポンピドゥー・センターと兵庫県立美術館との共同によりオリジナル企画で他館へ巡回する予定はないのです。

もっともどの作家も東京なら見られる機会もそう少なくないでしょうと思われるかもしれません。実際、僕もエスパス ルイ・ヴィトンでのエルネスト・ネト、水戸芸術館でのツェ・スーメイも見たし、と思ったのですが、イザ・ゲンツケンは未見だし、大好きなレアンドロ・エルリッヒはどんな作品が出てくるのだろう、それにダニエル・ビュレンの「二度、繰り返すことはない」はどんなんなるんだろうとか考えると、やっぱり行くしかない!と思ってしまうのです。

それにポンピドゥー・センターの友の会という、アマチュアながら間違いのない眼力を持った美術愛好家のみなさんが太鼓判を押した作品ばかりをこれだけ一同に会した展覧会はそうはないだろうと思います。


《無題》サイ・トゥオンブリー 1969 © Cy Twombly Founation
Photo © Centre Pompidou, MNAM- CCI / Philippe Migeat  / Dist.RMN-GP

また、開催初日の翌日、1月19日(日)には同館ミュージアムホールにおいて行われる、ポンピドゥー・センター国立近代美術館長のアルフレッド・パックマンさん、サンフランシスコ近代美術館長のニール・ベネズラさんという、アートシーンのキーパーソンのみなさんが登壇する国際シンポジウム「あさっての美術館」も見逃す訳にはいかないだろうと思います。

ところで、サブタイトルになっている「フルーツ・オブ・パッション=情熱の果実」の意味ですが、これは本展の中核をなす25点の作品が2002年から始まった国立近代美術館友の会の「現代美術プロジェクト」によって収蔵された作品から選ばれたもので、友の会のメンバーとポンピドゥー・センターの「情熱の果実」が結実したものだからという事です。

国立近代美術館友の会(le Societe des amis du Musee national d`art moderne)とは1903年にリュクサンブール美術館を支援するために生まれた組織をベースに設立されたもので、当時は100名あまりのメンバーでしたが、現在では900名ほどの組織になっています。また、その友の会において現代美術を充実させる事に特化したグループが現代美術プロジェクト(le Project l`art contempora/略称:PAC)で、60名ほどのメンバーが作品購入に関わっています。

日本の美術館支援において、こうした組織を持つのは考えにくいものですが、自分たちがお金を出して大いに口も出す事で、地元の美術館が充実する事に興味を持つようになったり、よりよい作品の収集に積極的に関われば、延いてはその地域の文化向上に繋がるのかもしれません。

彼らの “情熱の果実” がどういった形で結実したのか、お正月の神戸で目にしてはいかがでしょう?


《無題》イザ・ゲンツケン 2006 © Isa Genzken/Courtesy Galerie Daniel Buchholz, Cologne/Berlin
Photo © Centre Pompidou, MNAM- CCI / Georges Meguerditchian  / Dist.RMN-GP

《作業場》ファラー・アタッシ 2011 © Farah Atassi
Photo © Centre Pompidou, MNAM- CCI / Georges Meguerditchian  / Dist.RMN-GP

《ボーブールの雌猫》ジェイソン・ローズ 2004 © The Estate fo Jason Rhoades
Photo © Centre Pompidou, MNAM- CCI / Georges Meguerditchian  / Dist.RMN-GP

『ポンピドゥー・センター・コレクション フルーツ・オブ・パッション』
会期:2014年1月18日(土)〜3月23日(日)※月曜日は休館
会場:兵庫県立美術館 企画展示室
開館時間:10:00〜18:00 ※金・土曜は夜間開館(20:00まで)※入場は閉館の30 分前まで
観覧料:一般1,300円、大学生900円、高校生・65歳以上650円、中学生以下無料
主催:兵庫県立美術館、ポンピドゥー・センター、読売新聞社、美術館連絡協議会
後援:在日フランス大使館/ アンスティチュ・フランセ日本、兵庫県、兵庫県教育委員会、神戸市、神戸市教育委員会、Kiss FM KOBE
協賛:ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン、パリ・ポンピドゥー・センター日本友の会
協力:エールフランス航空、NEC ディスプレイソリューションズ株式会社、ホテルオークラ神戸



          

2013年11月26日

MUSEUM PROFILE 01 : 群馬県立館林美術館

群馬県立館林美術館を南西側のアプローチからのぞむ。中央のレンガ色の建物は展示室1

群馬県立館林美術館は群馬県の第2の美術館として2001年10月26日に開館しました。館林市郊外の白鳥の飛来地として知られる多々良沼近くの水耕田跡地で、美術館裏手にあたる西側には多々良沼に注ぐ多々良川が流れる場所に位置する自然豊かな美術館です。


美術館裏手の多々良川に白鳥の姿が

美術館南側、多々良沼方向に広がる田園

3つの展示室、講堂などを収めた本館がレンガ色の三日月型をした展示室1を取り囲むように弧を描いて建ち、展示室1は広大な芝生に向けて開口した窓から自然光が気持ちよく入り込む印象的な空間です。同館の設計は第一工房(代表:高橋靗一)が担当し、2004年に第17回村野藤吾賞を受賞しています。

2009年に開催された企画展示「エコ&アート-アートを通して地球環境を考える-近くから遠くへ」で日比野克彦さんが制作した「DNA PLAIN」は広大な芝生広場と展示室1の特徴を大いに活かした大変印象深い展示でした。芝生広場から連続する形で来場者が植えた(貼り付けた)色紙の草原が展示室1に広がり、その延長の壁面には岐阜県美術館で長良川をモチーフに同様の手法で制作された「DNA RIVER」(2006年)があり、展示室内に広大な自然が広がっていました。

同展は非常に暑い館林の夏を少しでも涼しくという発想から、企画された展覧会でした。同館では2005年に同様に夏をテーマにした「夏の蜃気楼 自然をうつしだす現代の作家たち」展が開催されており、いまだに僕の中では好きな企画展の10本のうちのひとつになっています。


間近で見ると思いのほかダイナミックなフォルムの展示室1
芝生に面した窓が特徴的な展示室1

「DNA PLAIN」日比野克彦(2009)

敷地内には同館が「シロクマ」をはじめとした作品を収集しているフランス人彫刻家、フランソワ・ポンポンさんのアトリエを再現した別館があります。敷地内北側に林が設けられ、その林の中に立つ別館の佇まいはまるでフランスの田舎に迷い込んだようです。同館ではポンポンさんの代表作である動物彫刻を多数収蔵していますが、収蔵後に作家の死後に鋳造されたものであることがわかり、作家本人が死後鋳造を作品として認めない遺言を残している事から、公開できない残念な状況になっています。個人的には作家未承認のままの限定的なものでも構わないので、公開を期待しています。


『シロクマ』フランソワ・ポンポン

ブルゴーニュのワイン農家を思い起こさせるような別館。館内にはフランソワ・ポンポンのアトリエが再現されている


本館の弧の部分にはミュージアムショップやハッシュドビーフが評判のレストラン イル・コルネットがあります。設計は第一工房(代表:高橋靗一)で2004年に第17回村野藤吾賞を受賞しています。また、同館東側の道路沿いには館林市出身の彫刻家・藤野天光さんの作品をはじめ、彫刻作品38点が約2キロメートルにわたって屋外展示された「彫刻の小径」があります。


水盤を横切って隣接のレストランへ

同館へのアクセスは都内からなら東武鉄道の特急りょうもうで、浅草(北千住経由)から館林の所要時間は約60分です。渋谷・新宿方面からJR湘南新宿ラインを利用した場合、久喜で東武鉄道に乗換て約30分です。館林駅から美術館は巡回バスがありますが、本数が少ないので、タクシー(10分ほど)が便利です。また、天気がよければ、館林駅の隣、多々良駅から歩いてもいいでしょう。20分強とちょっと歩きますが、多々良川に沿って歩いて美術館に入って行くのはなかなか素敵な体験です。ただし、途中に休める場所はうどん屋さんぐらいしかないので要注意です。


東側駐車場より見た芝生広場美術館

2014年1月13日まで群馬県とゆかりのある作家・山口晃さんの個展『山口晃展 画業(ほぼ)総覧 お絵描きから現在まで』を開催中

『山口晃展』展示のようす

『山口晃展』展示のようす


[開館時間]
9:30〜17:00(入館は16:30まで)

[休館日]
毎週月曜日(祝日・振替休の場合はその翌日。ただし、4月29日から5月5日までの間および8月15日を含む週は休館しません)、年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)。

[問い合わせ]
〒374-0076  群馬県館林市日向町2003
TEL 0276-72-8188(代表)FAX 0276-72-8338

        



『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』がついに東京で開幕。  3メートルを超えるロンギヌスの槍を見逃すな!

岡山でしか見られなかった、あの『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』が東京で初公開! プレス内覧会に参加してきました。

『ロンギヌスの槍』(三上貞直/橋本庄市 作)

2012年に「岡山の備前長船刀剣博物館 備前おさふね 刀剣の里」で開催されて話題となり、全国から岡山に詣でるエヴァファンが多くいたようですが、全国各地を巡回後、ついに11月23日に上野の森美術館でお披露目となりました。さらに来年2014年には国際交流基金の主催により、4月にフランス展、7月にスペイン展と世界に進出します。

本展は全国の刀匠たちが「ヱヴァンゲリヲン」とコラボレーションし、作中に登場するさまざまな武器を、伝統工芸の粋を集めた日本刀製作の技術で現実のものとして作り出し、日本刀文化とは関わりの薄かった層にも、伝統文化や技術の底力を感じてもらおうというもの。まさに「ものづくり」と「クールジャパン」が見事に合体した展覧会と言えます。

展示のメインとなるのは、全長3mを超える「ロンギヌスの槍」。男性でも抱えるのが精一杯というもので、屈指の実力者である刀匠・三上貞直さんとその弟子の金属造形作家の橋本庄市さんの共作によるもの。あまりの巨大さに三上さんの工房そのものを作り直して、製作に挑んだそうです。

ロンギヌスの槍の説明は不要かもしれませんが、エヴァの作中、特務機関NERVの地下空間に封印された第二使徒リリスの胸に突き刺さった状態で登場するもので、エヴァンゲリオンの身長よりも長いという設定にならい、本作品も長さを強調しており、DNA螺旋を想起させる“ねじり”も大きな特徴になっています。

ロンギヌスの槍。材料となる複数の金属を層状に重ねる技法でつくられたダマスカス鋼で作り出された地肌の模様「綾杉肌」が見事
エヴァンゲリオンレーシングのレースクィーンのみなさんも応援に駆けつけていました

見どころはロンギヌスの槍だけではありません。エヴァのアナザーストーリーとして「電撃ホビーマガジン」に連載されていた小説「エヴァンゲリオンANIMA」の作中に登場する、マゴロクソードとビゼンオサフネも展示されています。刀に詳しくなくとも時代劇などで、このふたつの名前には聞き覚えがあるだろうと思いますが、マゴロクソードは関孫六、ビゼンオサフネは備前長船が由来になっています。

関孫六とは美濃国(岐阜県)関地方で活躍した刀工集団で、なかでも兼元孫六の作る刀は山形の刃文「三本杉」と凄まじい切れ味で知られており、「最上大業物」の称号を与えられています。作中ではこの孫六を解析して生み出されたのがマゴロクソードで、ATフィールドを切り裂き両断する機能があります。


「マゴロクソード」(尾川兼國 作)。刀身には三本杉、拵は初号機のパーソナルカラーである青紫に染められ、伝統とポップが見事に融合している
「カウンターソード」(川崎晶平 作)。こちらも「エヴァンゲリオンANIMA」に登場した武器で日本刀の刀身と実体弾を打ち出す銃の要素を兼ねている

「ビゼンオサフネ」(松葉國正 作)。刀身だけでも144.2cmという大太刀。刃文「大乱れ」が美しい。

「プログレッシブナイフ剣型<角>」(石田國壽 作)。映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」本編に登場したもので、柄は作中のデザインを忠実に再現している


また、「綾波レイ仕様 刀」や「渚カヲル仕様 刀」といった東京展から初出展の作品も展示されています。さらに東京展よりスタートした新プロジェクト「刀野薙ーNATAYANAGI」の製作過程も公開されています。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」のメカニックデザイナーの山下いくとさんが本展のために描き下ろしたオリジナルデザインの刀剣類を、刀匠・宮入 小左衛門行平さんが製作するというもので、2014年11月完成を目指しています。


「綾波レイ仕様 刀」(吉田政也 作)。東京展より初出展。綾波レイの白いプラグスーツやエヴァンゲリオンとのハーモニクス(精神のシンクロ)をモチーフに製作。

「渚カヲル仕様 刀」(加藤賀津雄 作)。東京展より初出展。最後の使者として静謐を望むところから海の青をイメージした拵に。

新プロジェクト「刀野薙ーNATAYANAGI」。写真は製作中の刀身。

この他にも短刀や脇指、兜まで展示されており、まだまだみどころはいっぱいです。ちなみに音声ガイド(500円)は葛城ミサト役の三石琴乃さんが担当しています。また、館内のカフェ喫茶 森で本展オリジナルメニューを注文すると限定版コースターがプレゼントされます。

最後に併催されている『海洋堂エヴァンゲリオンフィギュアワールド』に展示されていた見事なジオラマをご紹介します。









会期:11月23日(土・祝)〜12月23日(月・祝)
会場:上野の森美術館(上野)
開館時間:10:00〜17:00
入場料:一般1000円、大学・高校生800円、中・小学生600円
主催:上野の森美術館、産経新聞社、テレビせとうち、博報堂DYメディアパートナーズ、一般社団法人全日本刀匠会事業部
企画協力:グラウンドワークス
協力:テレビせとうちクリエイト、電撃ホビーマガジン ©カラー

[同時開催]「海洋堂エヴァンゲリオンフィギュアワールド」
入場料:一般500円、大学・高校生400円、中学・小学生300円

2013年11月25日

MUSEUM LISTページを追加しました




取材やプライベートで行った事がある美術館、博物館のリストです。今後は取材した時の写真やレポートなども加えていこうと思います。また、まだ行った事がないところで、ぜひ行ってみたいところも入れていこうと思いますので、行ってレポートしてほしいと思う美術館があれば、上記のFacebookの投稿やメッセージでリクエストしてください。可能な限り取材に行ってみたいと思います。

トップページのビジュアルにも使っているこの写真は
群馬県立館林美術館をiPhoneのパノラマ機能で撮影したものです。