2014年6月2日

「ゴジラ」は反戦反核映画? BBCの取材にコメントしました

いよいよ米国をはじめ海外各地で、新作の「GODZILLA ゴジラ」の公開がスタートしました。

『GODZILLA ゴジラ』の日本公開は7月25日





怪獣ファン、特撮ファンはもちろん、多くの映画ファンも公開を心待ちにしているだろうと思いますが、ご存知のように本家本元の日本での公開は今夏7月までお預けです。これは、日本で公開されれば、多かれ少なかれ、いい評価も悪い評価も、ともに出てしまうでしょうし、それらの評価は確実に作品の評判に影響し、ひいては興行成績にも影響するのは必至。日本での評価が先に出てしまう前に、海外での評価を固め、興行成績に結果を出した後で日本で公開しようという事なのだろうと推測できます。

「ゴジラ」ならびに怪獣映画に対する日本人の意見は想像している以上に海外から重視されているようです。「ゴジラ:日本人はなぜ怪獣映画を愛するのか?」をテーマとしたBBCの記事で、日本人がゴジラならびに怪獣を愛する理由をたずねられ、数度のメールでのやり取りから、さまざまな疑問にお答えしました。

残念ながら僕は英語が堪能とまでいきませんので、僕の回答の微妙な部分をどこまで英語で表現しているのかは確認できていませんが、かなり丁寧に僕の意見を取り入れ、記事に反映したことは間違いないようです。微妙なニュアンスについて、もし齟齬がある事がわかったら、ブログで修正していければと思います。

BBCの記者の方とやり取りをしていて違和感を感じたのは、「ゴジラ」(1954)=反戦反核映画、という前提のもとで話を進めようとしている点でした。

たしかに、ゴジラは水爆実験で目覚めた怪獣だし、オキシジェンデストロイヤーが第三の兵器となって人類に再び戦火を引き起こさないようにゴジラとともに海の藻くずとなった芹沢博士。ゴジラの進撃ルートが東京大空襲でのB29の爆撃ルートをなぞらえているとか、ゴジラに蹂躙された東京の街と人々の姿を広島、長崎を取材して描いているなど、反戦反核を思わせる部分は多くみられます。





ですが、僕にはどうしてもそれがすべてとは思えません。敗戦から立ち直りつつあり、これから日本を本格的に復興させよう、という国民全体の士気があがってきていた当時の社会の雰囲気の中で、本多猪四郎監督や円谷英二特技監督、田中友幸プロデューサーら製作陣には、メッセージ性よりも先に、世界が驚く映画を作ってやろう、という意気があったのではないかと思います。

第二作となった「ゴジラの逆襲」(1955)ではゴジラがアンギラスと大阪城で対決する、その後の怪獣映画の原型となる怪獣バトルがスタートします。「ゴジラ」(1954)以降、シリーズ化していく怪獣映画の中で、リメイクされた「ゴジラ」(「ゴジラ」1984、「ゴジラ2000ミレニアム」1999)では核が取り上げられ、「ゴジラ対へドラ」(1971)のように環境問題などさまざまな社会的なテーマが盛り込まれた作品が制作される事はあっても、ストーリーの中心はあくまでVS怪獣、VS宇宙人、VS自衛隊であり、エンターテインメントに徹してきたのがゴジラシリーズだと思うのです。ゴジラシリーズについては「ゴジラ 東宝公式サイト」に詳しいのでぜひそちらをご覧下さい。








そうは言っても、原爆(広島、長崎)、水爆(第五福竜丸)、原発事故(福島)を経験した僕たち日本人にとって、ゴジラが持つ反戦反核という普遍的なテーマに真摯に向き合い、世界に向けてメッセージしていくのは、ゴジラを生み出した日本人として果たさなければならない責務だと思うのです。

ちなみに僕はまだ本作品は観ておりません。7月25日まで国外に旅行する予定もありませんしね。そういうわけで、どこかで試写会にでもいかない限り、公開当日、IMAX 3Dで見ることに決めています。このブログの続きは、公開後、作品を観てからにしたいと思います。


    

2014年6月1日

帰ってきた人造人間、『キカイダー REBOOT』を見逃すな!

スイッチオン! ワン、ツー、スリー!

仮面ライダーやスーパー戦隊の陰に隠れて、なかなか日の目を見なかった傑作「人造人間キカイダー」をリメイクした『キカイダー REBOOT』が劇場公開されています。特撮ドラマとしてNET(現在のテレビ朝日)系列で放送されていたのが1972年ですから、実に40年以上ぶりの復活です。

『キカイダー REBOOT』は絶賛公開中
キカイダーと宿敵ハカイダーとのロングバトルは必見

ご存じない方に簡単に説明しますと、キカイダーのジローは光明寺博士が生み出した人造人間(アンドロイド)。「良心回路」を持つことで、相手を殺せないという弱さを持ち、機械なのに、善と悪の狭間で葛藤し苦悩しつつ、プロフェッサー・ギル率いる悪の組織から光明寺博士の遺児ミツ子とマサルの姉弟を守るという使命のために戦います。正義と悪、なにが正しいのか、単純な勧善懲悪に終わらないテーマを持っており、ロボットの存在がリアルに感じられつつある現在において、普遍的でありながら、とても現在的な作品と言えます。

本作の「キカイダー REBOOT」は、リメイク作にありがちなコンセプトの迷走は見られず、良心回路の存在、善と悪の狭間での葛藤、自分が機械である事の苦悩など、単なるヒーローものに終わらない、原作が大事にしていたコンセプトに忠実に描かれていて好感が持てます。こうしたテーマを持つだけに、特撮ヒーローものでありながらドラマ部分を大事にしており、ジローとミツ子、マサルの心のふれあい、プロフェッサー・ギルの歪んだ野望、そして影の存在の巨悪など、本作のみでは収まらない、今後の展開を大いに期待させるストーリーとなっています。

また、近年のヒーローものに多い、味方も敵も多過ぎてなにがなんだかわからないというものではなく、キカイダーを阻む存在に、大型戦闘ロボット(形状や最初に戦う相手である事を考えれば、やはりグレイサイキングか?)、女性型アンドロイドのマリ、そしてキカイダーの仇敵ハカイダー、これだけ。それだけに、キカイダーと敵のバトルは濃密で、とりわけハカイダーとのバトルシーンは特撮史上まれみる長さではないでしょうか? また、変身体では最後まで登場しなかった人間体のままのマリの華麗なバトルスタイルは特撮ヒロインものの可能性すら感じさせました。そして、なんといってもプロフェッサー・ギルを演じる鶴見辰吾さん。「仮面ライダーフォーゼ」での悪玉ぶりが印象的だっただけに本作でのハマリぶりは必見です。


まさに兄弟関係にあるアンドロイド、ジロー(入江甚儀)とマリ(高橋メアリージュン)の決着は?

光明寺ミツ子(佐津川愛美)とジロー。人とキカイに愛は芽生える?

「良心回路」の発想した心理学者を1972年に人造人間キカイダーを演じた伴大介さんが熱演!

大作に押されてか、メディアではあまり注目されていないようですが、確実に劇場に足を運んでいる層はいるようです。前述のとおり、往年のファンも納得する部分も多く、某◯ッ◯ャマンの出来に比べれば、上々の仕上がりと言えるようです。やっぱり大事なのは、コンセプトやマインドという事なんでしょうね。



以下ネタバレを含みます。

いくつか残念だったのは、キカイダーとハカイダーのバイクアクション。特にキカイダーの大きな特徴と言えるサイドカーが登場しなかったので、ぜひ次回作では実現して欲しいです。またマリとは決着がついていませんが、ぜひマリの変身体でのバトルを見せて欲しいです。

それとこれは大事な部分なのですが、コンセプトに忠実に、と書きましたが、「良心回路」を邪魔なもののように扱っている点については、ちょっと違うな〜という感じがしました。「良心回路」があるからこそのキカイダーだという点を次回作では見直して描いて欲しいなと思います。また、ジローやミツ子を助けるネットジャーナリスト(原田龍二)の存在は悪くないのですが、彼の存在を通じてネットやスマートフォンを悪く描いているのは、どうにもしっくりこないなと感じました。

ハカイダーはバイクで登場します。ハカイダーが誰なのかは劇場で!

【作品情報】

『キカイダー REBOOT』

入江甚儀 
佐津川愛美 高橋メアリージュン 
原田龍二 中村育二・伴大介・山中聡 長嶋一茂
本田博太郎 石橋蓮司 
鶴見辰吾

原作/石ノ森章太郎 監督/下山天 脚本/下山健人
音楽/吉川清之 アクション監督/田渕景也(Gocoo)
VFXスーパーバイザー/美濃一彦(ツークン研究所)

©石森プロ・東映 ©2014「キカイダー」製作委員会