2015年2月3日

2020年、上野の夜が変わる!? 上野「文化の杜」新構想シンポジウム開催

1月31日に東京藝術大学で行われた『上野「文化の杜」新構想シンポジウム』に行ってきました。


この「文化の杜」新構想というのは、東京国立博物館、国立科学博物館、東京都美術館、上野恩賜動物公園、東京藝術大学、東京文化会館など、日本を代表する文化・学術関連の施設が集中する上野恩賜公園を中心としたエリアである上野地区を、国際文化都市、交流拠点として年間3000万人の来街者数を目指した「文化の杜」としてするべく検討が進められているものです。

本シンポジウムでは、2014年8月に公表された新構想中間報告に対して募集された意見結果の報告とともに、本構想の共同発起人である東京藝術大学の宮田亮平学長がモデレータを、文化庁の青柳正規長官がコメンテータを務め、照明デザイナーの石井幹子さん、東京都生活文化局長の小林清さん、NHK解説委員の中谷日出さん、東京藝術大学の日比野克彦教授、作家・谷根千工房の森まゆみさんら、5名のパネラーによる「新構想」のための提案を行うパネルディスカッションが行われました。


錚々たる面々のプレゼンテーションが行われたわけですが、往々にしてこうしたシンポジウムでは革新的なアイディアが披露されることはあまり期待できないもので、全体的にはわりと凡庸な提案で多少がっかりもしましたが、それでもいくつかはこれは!という提案もありました。

3000万の来街者を目標に、という中間報告に対して、「そんなに多くの人がきたら、上野の静かな環境が阻害される」といった声が一般の方からの意見書にありましたが、かねてからあの人っ子ひとりいない(ある意味、ホームレスと出歯亀しかいない)上野の夜を考えたら、昼間増やさずとも夜間にやってくる人がいれば、来街者も増やせて、街の表情も変わっていいだろうと思っていましたが、さすが照明デザイナー、石井幹子さんが夜間の活用を提案していました。小林氏は芸術祭を提案していました。

日比野克彦さんは東京都美術館と藝大がコラボして進めている「あいうえの」「トビらー」の現状の活動の紹介に終始しましたが、上野に必要なのはハードじゃなく、ソフトという面を考えれば、今後の展開が楽しみです。谷根千の森まゆみさんの歴史のある上野を重視したいという発言はとても重要だと思うし、単純に過去の遺物を再興しようということではなく、いまの時代に合った、新しい手法での表現で実現できるだろうと感じました。

そういったことから、アートディレクターでもある中谷日出さんの徹底して最先端の映像技術を駆使し、夜の上野を盛り上げる構想は、実現可能性も高く、他のパネラーのみなさんの提案を実現に導く、説得力のある提案ではないかと思いました。とりわけ、「BIG SCREEN PLAZA」と名付けられた噴水広場に8Kのスクリーンを設置し、日本文化を紹介する映像を上映する施設は、インパクトが大きく、映像なのでコンテンツの変更も容易なものです。また、その噴水を使った「Water Fountain Projection」はエンターテインメント性が高く、暗く寂しかった上野の森の夜を華やかに彩ってくれそうです。

BIG SCREEN PLAZA(提供:中谷日出氏)

Water Fountain Projection(提供:中谷日出氏)

中には、新たな建造物を建てよ、という声もあるようですが、こうした映像施設があれば、わざわざ上野の森を潰して、建物を建てる必要なんかありません。僕も個人的には上野の森に新たな建造物はいらないと思います。

それよりも映像で盛り上がる噴水広場の地下に、上野駅からそれぞれの施設にアクセスできる広場を作ってはどうでしょう? そうすれば、地上で映像を楽しむ人々はゆったり映像を楽しめるし、増える来街者対策になるだろうと思います。もちろん桜の季節にも少しでも余裕を持って桜を楽しめるのではないでしょうか? ぜひ、僕から提案したいのは、噴水をレアンドロ・エルリッヒさんに作りなおしてもらうのです。世界中で、ぜひ訪れてみたい噴水のひとつになると思うのですが。

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