2019年5月9日

「令和」祝う、日本美術の饗宴。特別展『美を紡ぐ 日本美術の名品』東京国立博物館

〈唐獅子図屛風〉[右隻]狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀(三の丸尚蔵館蔵)

文化庁、宮内庁、読売新聞社が協力して推進する「紡ぐプロジェクト」の一環として、特別展『美を紡ぐ 日本美術の名品 ー雪舟、永徳から光琳、北斎まで―』が東京国立博物館本館において開催中です。〈唐獅子図屏風〉をはじめとした皇室ゆかりの優品や、新元号「令和」の由来となる国宝や数々の重要文化財、重要美術品が出展されています。会期は6月2日(日)まで。


すっかり初夏のような東京国立博物館前の上野恩賜公園
特別展「美を紡ぐ 日本美術の名品」は本館大階段下の特別室などを会場に開催中


「紡ぐプロジェクト」に関連して、この春、特別展 御即位30年記念「両陛下と文化交流―日本美を伝える―」(2019年3月5日〜4月29日)を開催されました。新元号「令和」の時代を迎えた令和元年5月3日(金・祝)からはじまった「美を紡ぐ 日本美術の名品」では、文化庁や東京国立博物館、宮内庁三の丸尚蔵館*の協力により、国宝・重要文化財をはじめとする日本美術の名品がこれでもかというほど並んでいます。

とりわけ、宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する狩野永徳〈唐獅子図屏風〉(右隻)と狩野常信〈唐獅子図屏風〉(左隻)、狩野永徳の国宝〈檜図屏風(東京国立博物館蔵)と〈四季草花図屏風〉(三の丸尚蔵館蔵)といった大作が並ぶさまは壮観。

また、ひとつのケースに雪舟の国宝〈秋冬山水図〉(東京国立博物館蔵)、尾形光琳の〈伊勢物語 八橋図〉(東京国立博物館蔵)、尾形乾山の重要文化財〈八橋図〉(文化庁蔵)、葛飾北斎の〈西瓜図〉(三の丸尚蔵館蔵)が並んだりと、最初から最後まで圧巻の展示が続きます。

*宮内庁三の丸尚蔵館について

〈唐獅子図屛風〉[左隻]狩野常信筆 江戸時代・17世紀(三の丸尚蔵館蔵)
〈花鳥遊魚図巻〉部分 長沢芦雪筆 江戸時代・18世紀(文化庁蔵)
国宝〈檜図屛風〉狩野永徳筆 四曲一双 安土桃山時代・天正18年(東京国立博物館蔵)
〈四季草花図屛風〉伝狩野永徳筆 4曲1隻 安土桃山時代・16世紀(三の丸尚蔵館蔵)
国宝〈秋冬山水図〉雪舟等楊筆 2幅 室町時代・15世紀末~16世紀初(東京国立博物館蔵)
左より〈伊勢物語 八橋図〉尾形光琳筆(東京国立博物館蔵)、重要文化財〈八橋図〉尾形乾山筆(文化庁蔵)、〈西瓜図〉葛飾北斎筆(三の丸尚蔵館蔵)
テーマらしいテーマがないと言われてしまえばそれまでですが、これほどの名品が一堂に介するのは、新天皇のご即位、新しい時代「令和」を祝うこの時期ならでは。第3会場(特別2室)には新元号「令和」のもととなった国宝〈元暦校本万葉集 巻一(古河本)〉も展示されています。必見!

「紡ぐプロジェクト」は、「両陛下と文化交流―日本美を伝える―」と「美を紡ぐ 日本美術の名品」のふたつの特別展開催をはじめ、日本美術・文化の魅力を発信するポータルサイトの開設、文化財修理事業をプロジェクトなどを推進しています。貴重な文化財・美術品の公開を通じて得た収益を修理に充てることで、文化財・美術品を後世に紡いでいくために欠かせない「保存、公開、修理」という一連のサイクルが永続する仕組みを作っていきます。今後の展開に期待したいプロジェクトです。

国宝〈元暦校本万葉集 巻一(古河本)〉20帖のうち1帖 平安時代・11世紀(東京国立博物館蔵)
新元号「令和」のもとなった「万葉集」巻五の近代に書写されたものが
本館一階18室に展示されている
重要文化財〈浜松図屛風〉6曲1双 室町時代・15世紀(文化庁蔵)
左:重要文化財〈舞妓〉黒田清輝筆 1面 明治26年(東京国立博物館蔵)
右:〈秋茄子〉西村五雲筆 1幅 昭和7年(三の丸尚蔵館蔵)

展示室は企画展が行われることが多い、平成館や表慶館ではなく、本館大階段下の特別5室、特別4室、二階の特別1室、2室の4会場に分かれており、これほどの内容を展示するには若干の手狭で、分かりにくさもありますが、それを補ってあまりある内容とと言えます。

第4会場の特別1室。この画面の中に与謝蕪村、池大雅、谷文晁、伊藤若冲、葛飾北斎といった誰もが知っている名品ばかりが。なんて贅沢な空間なのか。

※なお、展示室内ならびに作品写真は特別に許可を得て撮影したものです。本展は特別展のため、一般には撮影は許可されていません。

【開催概要
特別展「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」
会期:2019年5月3日(金・祝)~6月2日(日)※月曜休館
会場:東京国立博物館 本館特別5室・特別4室・特別2室・特別1室(上野公園)
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで/会期中の金・土は21:00まで開館)
観覧料金:一般1,100円、大学生700円、高校生400円、中学生以下無料
アクセス:
JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主催:東京国立博物館、文化庁、読売新聞社
協力:宮内庁

展覧会公式サイト https://tsumugu-exhibition2019.jp/

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