2012年10月24日

涙を語る映像、涙を映す言葉〜「Tears」に寄せて


『Tears』の元動画があった「Nikon Brand Story」はニコンのTumblr!

僕たちはこの1年半、何度、涙を流しただろう? もしかすると人生の中でもっとも泣いた時期だったと振り返る人もいるかもしれない。それだけ、悲しくつらい季節を過ごしてきた。涙は、人の感情を隠しきれずにむき出しにしてしまう。だからこそ、真の涙は貴重なのだ。

ちょっと前にYou Tubeで『Tears』という動画を見つけた。さまざまな国で、さまざまな人々が、さまざまな場面で、さまざま理由から涙をながす姿を映像で綴っているものだ。3人の作家が描く涙の映像は、涙を流す人々のそれぞれのカットはわずか数秒でありながら物語に溢れ、ドキュメントなのかドラマなのかわからない映像が真に迫ってくる。これは9月にドイツで開催された写真・イメージング分野での世界最大の見本市、Photokina 2012でニコンが公開したものだ。

[光を映す涙]
スウェーデン出身でいまはロサンジェルスでコマーシャルやミュージックビデオ、映画といった分野で活躍するアダム・ファーシが描いたのは「光」。ウェディングドレスの白と眩しい海辺の光を反射する波、暑く乾いた砂漠に降り注ぐ強烈な太陽、暗闇に儚げなランプの灯り、木漏れ日、街の灯り、リビングに優しく降り注ぐ日差し……。さまざまな光が描き出されており、その光に注がれるまなざしが印象的だ。





[真に迫る涙]
ロンドン在住のシネマトグラファー、ローラ・ベリングハムの映像は人の表情、とりわけ涙する目にフォーカスしている。涙する人を、これでもかというほど近い距離でとらえ、その表情そして瞳に迫る。彼らの表情、涙する瞳にはそれぞれの人生が色濃く映し出され、まるでドキュメンタリーのようなその映像から感情が強く伝わってくる。




[物語る涙]
シンガポールの撮影監督・フォトグラファーのデヴィッド・リーの作品はまさに映画だ。僕は台湾や中国をはじめとしたアジアの映画にひとかたならぬ思い入れがあるのだが、アジアの映画の多くは、ことさらに誇張した舞台を用意する事もなく、普通の人々が送る生活だったり、なんでもない人生を描く映画が多い。この映像はまさにそうしたアジア映画のワンシーンを切り取ってきたような印象。まるでオムニバスの映画を見ているかのような味わいを感じる。




3人の作家の作品を観て気づかされたのは、涙は悲しい時だけに流すのではないということだ。喜怒哀楽、すべての感情に涙は流される。考えてみれば、僕はこの1年半、悲しい時にだけ流す涙にしか接してこなかったかもしれない。

この映像に描かれているような事で、僕も涙した経験があった。生まれくるいのちに涙し、子どもの旅立ちに涙した。尊敬する先輩のハッピーなリタイヤに涙し、古い友人に偶然出会ってお互いの無事に喜ん涙し、ただただ純粋に昇ってくる朝日に涙したり……。もっともっと、悲しいだけではないさまざまな場面で僕たちは涙してきたし、これからもそうあるはずだ。

3つの映像をひとつにまとめて編集したのがニコン ブランドストーリー「Tears」だ。『Tears』に描かれたさまざまな涙する表情、それぞれに添えられているのは一文字の漢字だ。
そうだった。日本にはこれほど豊かに涙する感情を表す、素晴らしい言葉があったのだ。



Nikon Brand Story
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