2012年8月18日

テレビがアートを変える? アートがテレビを変える!

アート番組と言われて思い出す番組ってなんでしょう? やっぱりNHK「日曜美術館」? それともテレビ東京の「美の巨人たち」? 実は僕はこのどちらもあまり見たことがありません。もちろん、興味のあるアーティストや展覧会が放送されるのがわかれば、チェックして見ますが、これだけアートが好きな僕でもどうにも退屈なのです。

よく言えば重厚な番組作りですが、なにか教育的というか、ナレーションもどこか上から目線っぽい。なによりテレビというお気軽なメディアにアートの空間がどうにも収まっていないように思うのです。そんな中、このところお気に入りで毎週のようにチェックしているのが、BS日テレで毎週火曜20時から放送されている『ぶらぶら美術・博物館』です。


『ぶらぶら美術・博物館」はBS日テレで毎週火曜20時に放送中




「ぶらぶら美術・博物館」は編集者・評論家の山田五郎さんをナビゲータに、お笑い芸人のおぎやはぎのお二人とモデルの相沢紗世さんが五郎さんの解説を聞きながら、美術館や博物館、展覧会やアートフェスといったアートエリアをぶらつきながらアートを楽しむという内容。「ぶらり途中下車の旅」とか「ちい散歩」のような、気軽な旅番組のアート版といった趣で、とにかく肩の力を抜いて(つ〜か、ほぼ脱力系)、アートの世界にぬるぬると入っていきます。

最初のウチは五郎さんとおぎやはぎのくだらない掛け合いからはじまり、作品を見ていくうちにいつの間にか五郎さんの巧みな美術解説に聞き入ってしまいます。実はこの番組を見るまで、五郎さんは単に美術好きで詳しいのだと思っていたのですが(編集者って変質的にその分野が好きで下手な研究者よりも詳しい、なんて珍しくないので)、なんとザルツブルグ大学で西洋美術史を専攻していたそうで。なるほどナットクなのです。


本当の魅力は五郎さんが西洋美術に詳しいって事じゃなくて、独特な美術への理解が楽しいのです。例えば、「#19 箱根 ポーラ美術館 〜抱腹絶倒!?天然画家・ルソーの名画を満喫!〜」(2010年12月放送)で素朴画家のアンリ・ルソーを称して「元祖・ヘタウマ画家!パリの蛭子能収さん」とした事からもわかります。ルソーは独学で絵を学んだからか、縮尺がヘンだとか、足を描くのが苦手とか、ツッコミまくり。五郎さん曰く「おもしろい画家にはツッコミを。それがリスペクト」だと。


こういうノリ好きです。人間であるアーティストの人柄や人生の悲哀なんかを作品を通じて読み取れたらもっと作品を楽しめるだろうなぁ、と。もちろん、他の美術番組もそういう側面から取り上げてはいるんだろうけど。取り上げ方ひとつでこうも印象がかわるものかと。




もうひとつ、注目しているアート番組が『ARTはアーホ!』(フジテレビ)。こちらはさらにアーティスト本人にグッと近い作りになった印象の番組です。これまでに1月と5月に2度、超深夜時間帯に放送されただけの不定期放送番組で、次、いつ放送されるかわかりませんが、これまでのアート番組とはひと味もふた味も異なるアートバラエティ番組になっています。


アートのバラエティと言えば、北野武=ビートたけしさんが司会していた「たけしの誰でもピカソ」(テレビ東京)や「たけしアース☆ビート」(NHKBSプレミアム)がありましたが、本番組はさらにアーティストのアホ路線を突っ走っている感じ。よりぶっ飛んだアーティストが次々と登場する、アートのショーケース、というよりはおもちゃ箱のような番組です。MCには千原ジュニアと中川翔子、ナレーションはハライチの澤部。仕掛け人は構成作家の倉本美津留さんと編集者の後藤繁雄さんと言えば、なるほどなぁと。

これまで出演したアーティストはほとんどが新人、若手と言われる作家ばかり。個人的にも友人の遠藤一郎さんをはじめ、みなさん、とても自由な発想でぶっ飛んだ作風で、毎度、おおっ、なんじゃこれ?と思わせる作家が必ずいます。次回はいつになるかわかりませんが、楽しみ。

最近では、こうしたアーティストがテレビ番組に露出する機会が増えているなぁ、と感じています。先日も「なんだ君は!? TV」(TBS)にマコプリちゃんが出てたし。これってテレビに出る人材が乏しいからなんだろうな。いつ、どのチャンネルを見ても、同じような顔ぶれのお笑い芸人、タレントばかりで、芸能界って、と感じることしきり。そういう中で異彩を放つアーティストはテレビ業界にとっては安く済んで、なおかつおもしろい、格好の素材なのかもしれません。

やはり、テレビがアートを変えそうなのではなく、アートがテレビを変えていくのかも。
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