2015年7月3日

CM映像に新しい波〜「もったいない」で明日は変わる:ACジャパン+NHK《コミックス・ウェーブ・フィルム》



NHKがACジャパンと共同で行っているキャンペーン「『もったいない』で明日は変わる」のCM映像が話題だ。

フルアニメーションで製作されており、さまざまなシーンで学生やアルバイトなどの若者が「もったいない」とつぶやくというもの。モノや資源を惜しむ「もったいない」ではなく、未来を創造することばとしての「もったいない」を伝えたい、立ち止まっていて「あきらめてはもったいない」「なにもしないままではもったない」をメッセージにこめているという。アニメーションを手がけたのは四宮義俊。

非常にクオリティの高い映像で、アニメに明るい人なら「おっ、これ、新海誠?」と、ピンとくる方も多いのではないか。新海誠監督は「秒速3センチメートル」など、これまでのアニメーションとは一線を画したドラマティカルな映像を紡ぎ出す作家だ。ここ数年、新海監督が手がけた大成建設の「地図に残る仕事。」シリーズのCM映像が好評をえている。四宮義俊監督は新海監督の「言の葉の庭」でポスターイラストなどを手がけており、新海作品に見えるのも宜なるかな。

『秒速3センチメートル』(2007年)
©Makoto Shinkai/ CoMix Wave Films

新海誠監督は、宇宙戦争の時代に宇宙と地上に引き裂かれる少年と少女の淡い恋を描いた初監督作品「ほしのこえ」(2002年)を25分のフルデジタルアニメーションとしてほとんどひとりで制作。非常にクオリティの高い映像とともに、第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞などさまざまな賞を受賞し、注目を集めた。

その後、初の劇場長編作品「雲のむこう、約束の場所」(2004年)、ロングランヒットとなった「秒速5センチメートル」(2007年)、ファンタジー色の強いジュブナイル「星を追う子ども」(2011年)を制作。2013年に公開された「言の葉の庭」では監督初の恋愛ストーリーとなり、美しい雨の描写が話題になった。

『言の葉の庭』(2013年)
©Makoto Shinkai/ CoMix Wave Films

2009年には初のTVCM作品となる信濃毎日新聞のCMを公開、大成建設の「地図に残る仕事」はシリーズ化されており、「ボスポラス海峡トンネル」篇、「スリランカ高速道路」篇、「ベトナム・ノイバイ空港」篇と3本を新海監督が手がけている。「新ドーハ国際空港」篇は新海監督が所属するコミックス・ウェーブ・フィルムが監督・作画に田澤潮さんを迎えて制作しており、今回の「『もったいない』で明日は変わる」同様、新海“チーム” の仕事となっている。

大成建設:ボスポラス海峡トンネル篇より

大成建設のCM以降、マルコメやディズニーなど積極的にフルアニメーションでCMを製作するケースが増えつつあり、CM映像の新たなムーブメントを感じさせる。ちなみにマルコメのCMを手がけたのは新進のアニメーションスタジオ、スタジオコロリドだ。

同CMのオンエア予定は以下のとおりで、以降も随時放送予定だ。また民放各局では7月以降に放送を予定している。

■30秒スポット
7/4(土)23:44〜 BS プレミアム

■15秒スポット
7/3(金)22:49〜 BS プレミアム
※編成の都合により放送内容が変更となる場合があり。

<NHK-AC共同キャンペーン「『もったいない』で明日は変わる」>
監督:四宮義俊
アニメーション制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
音楽:保科潤
声の出演:柳生みゆ/高杉真宙

コミックス・ウェーブ・フィルム

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