2019年1月25日

キルトで再現する印象派。第18回東京国際キルトフェスティバル:東京ドーム

キルトって言うと、パッチワークとかカントリーな感じのおばさまの趣味の手芸、という印象しかないのですが、東京ドーム(東京ドームだよ!)で『第18回東京国際キルトフェスティバル-布と針と糸の祭典-』なるイベントをやっているというので、見てきました。


「印象派に恋して~キルトとアートの素敵な出会い~」より。
キャシー中島さんはゴーギャンが愛した南洋(タヒチ)の楽園への旅をキルトで表現

そもそも、なんで見に行く気になったかというと、もともと、いわゆる針と糸を使うチクチク系のアート(2008年に森美術館で見たアネット・メサジェあたりから)がどうにも気になっているということと、ポーラ美術館でみたピカソの「ゲルニカ」を再現したタピスリーや、京都の川島織物文化館でみた若冲をはじめとしたさまざまなモチーフのタピスリーから、なんか妙にこうした手芸的な作品が気になっていたのです。

アネット・メサジェ《残りもの(家族II)》2000年
『アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち』展:森美術館(2008年8月9日〜11月3日)より引用
そんな時に、ただのキルトならわざわざ見に行くこともなかったのだけど、キルトで印象派の作家、ゴッホ、ゴーギャン、モネ、ルノワールを再現した「印象派に恋して~キルトとアートの素敵な出会い~」という特別企画をやっていると耳にしたもので、おばさまたちの波をかき分けて見てきました。


「印象派に恋して~キルトとアートの素敵な出会い~」より。
阪本あかねさんはカラスが舞うゴッホの夢を糸で紡いだインスタレーションを制作。
正直、キルトって小さなおうちとか花とかのパターン化された図柄が正方形の布地に表現された、あれでしょ。と言う感じで見に行ったら、案の定、そうでした。ほとんどがそう。それは、やっぱり正直に言って、つまらなかった。

それでも、所謂キルト作家と呼ばれる方の作品には一般的なキルトの印象とは大きく異なる独創的なものもあれば(世界地図をキルトで表現したものとか)、他のアートから着想を得た作品(まるで琳派に影響を受けたようなものとか)などもあって、結構侮れない、なと。

そうした中、「印象派に恋して〜」ではキャシー中島さん(テキサス刑事の奥さんで、フラダンスの人とばかり思っていました。もともとハワイの方?なので、ハワイアンキルトな人なのですね)をはじめ、鷲沢玲子さん、上田葉子さん、阪本あかねさんの4人のカリスマキルト作家が、それぞれゴーギャンを中島、モネを鷲沢、ルノワールを上田、ゴッホを阪本と、それぞれにインスパイアされたキルト作品を展開していました。

それらの作品はもう一枚の布ではなく、ほぼほぼインスタレーションのような立体のオブジェ!

鷲沢さんが手がけたモネは、モネ財団の正式な協力を得て、モネが終生愛した「ジヴェルニーの庭」を、布で “モネの夢”を実現したものです。阪本さんのゴッホは「ひまわり」が立体化し、カラスが飛び交い、モネはジヴェルニーのモネの庭を再現。ゴーギャンはゴーギャンのタヒチのアトリエを再現。まるでタヒチを旅しているかのような仕上りでした。ルノワールの美しい少女の世界を表現したルノワールはもっともキルトらしい作品で、むしろ安心できたほど。とにもかくにも、こういう世界もあるのだなぁ、とまたひとつ視野が広がった思いでした。


それにしても、今後、あれだけのおばさまの大群をみることはもうないだろうな。とにかくすごい熱量。若者率はたぶん5%以下、男性率はさらに低いかと。ドームの客席の上の方から眺めたら、なんか群体レギオンを思い出してしまった。


会場中央の「印象派に恋して」ともうひとつの特別企画
「南フランス・プロヴァンスの服飾魔法~アルルの女~」に多くの来場者が。

  第18回東京国際キルトフェスティバル-布と針と糸の祭典-
  会期:2019年1月24日(木)~30日(水)[7日間
  会場:東京ドーム(水道橋)
  https://www.tokyo-dome.co.jp/quilt/

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