先週の7日は2回目のデジハリ大学院での講義だった。ゲスト講師にメディアアーティストの八谷和彦さんにご登壇いただいて、大変興味深く、受講生も意欲的に参加してくれた講義を終えて、秋葉原を後にした。その後、六本木に移動し。ジャーナリストの林信行さん、通称nobiさんと落ちあって、六本木のギャラリーを回った。
はじめにnobiさんの紹介で、今年に入ってオープンした「WAKO WORKS OF ART(ワコウ・ワークス・オブ・アート)」に立ち寄った。六本木警察署裏手のピラミデにあるギャラリーで、今回は『リヒターとトゥオンブリー 新作エディション』展が行われていた。Gaehard Richter(ゲルハルト・リヒター)はガラスとラッカーを用いた作品「アブダラ」シリーズ、Cy Twombly(サイ・トゥオンブリー)は写真を版画として作品にした「チューリップ」シリーズが展示されていた。
リヒターの作品はガラスにラッカーを塗って、これを裏返してみたもので、さまざまな色彩が混じり合った状態は、作為的でもあり、偶然でもある抽象作品になっている。これを一目見たときに、既視感があったのは、僕の看板描きだった父が家の庭で作業をしていた時にガラス板の上で色を混ぜた時に偶然できる色を裏からのぞいたときとまったく一緒だったからだ。子どもだったその時に、その不思議な色の混ざり具合をいつまでも見ていた記憶がある。
その後、となりの「オオタファインアーツ」でフィロズ・マハムドの「ラメンテーション」展を見て、同じピラミデある「タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム」で「東松照明」展をのぞいて、ピラミデを後にした。
今回、nobiさんと一緒に行ったのは、共通の友人であるアーティストのヒロ杉山さんの呼びかけによるグループ展『After 311』でのレセプションに出る目的があったからだ。ヒロさんが主宰しているエンライトメントのキュレーションによる展覧会で、会場はピラミデから芋洗坂を出たところにある「ヒロミヨシイギャラリー六本木」だ。
同ギャラリーでは3月にエンライトメントの個展「ABSTRACT PORTRAIT」を行ったばかりだが、今回は、3月11日に起こった東日本大震災に寄せて、急遽行われたものだ。参加作家は311以降に描いた作品や今回のテーマにあった作品を持ち寄ったもので、ヒロさんは昨年から描き続けているキノコ雲シリーズを出展していた。中でも、311以降にセシウムを含んだ水道水を使って描いた新作は、福島原発の崩壊した建屋を思わせ、雲が人の手のようにも見える作品が印象的だった。
早めに着いた僕らは、ひと通り会場を見て、その後、併設のバーで一杯だけ呑んだところで、帰ろうとすると、すっかりいっぱいになった会場にはちらほら見かけた顔が。その中心にはこれまた二人の共通の友人で呑み仲間であるクリエイティブディレクターの佐藤豊彦さんを、彼が行っているイラストレーションスクールの関係者のみなさんと一緒にいるのを見つけた。後で佐藤さんとヒロさんも長い付き合いで、合言葉のように「ギョーカイ狭いなあ」と新たなつながりにひとしきり湧いた。
その後、北京ダックを食べに行くという一行と別れて、仕事に追われる寂しい週末を送る僕らは六本木駅へ行き、そして別れた。わずか2〜3時間だったが楽しいギャラリーめぐりになった。
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