2023年2月8日

抑えた中に愛が溢れるスパイ・サスペンス。巨匠チャン・イーモウ監督『崖上のスパイ』2月10日公開



現代の中国を代表する監督のひとり、巨匠チャン・イーモウ監督の最新作にして、初の本格スパイ・サスペンス『崖上のスパイ』。雪に閉ざされたモノクロームの美しい街・ハルピンを舞台に、抑えた演出ながら時には激しいアクションを交えて、フィルム・ノワールを思い起こさせるような美しい作品に仕上がりました。







【STORY】

1934年、関東軍による占領で日本の植民地に傀儡国家とした建国した満州国。その極寒の街、ハルビンにソ連で特殊訓練を受けた中国共産党の男女4人の工作員が潜入する。ミッションは極秘作戦“ウートラ計画”。目的は秘密施設での日本軍の蛮行を目撃した同胞を救出し、それを世界に知らしめることだ。


スパイチームは小蘭(シャオラン)と楚良(チュー・リャン)の若い恋人同士、張憲臣(チャン・シエンチェン)と王郁(ワン・ユー)の夫婦。チャンとワンの夫妻にはハルビンに残さざるを得なかった2人の子どもがいた。彼らはスパイとしてのミッションを遂行すると同時に子どもを探すことも重要だった。4人はそれぞれをわけて2チームで組み、行動を開始する。


4人は厳しい検問を掻い潜りハルビンへの潜入に成功するが、実は仲間の裏切りで、満州国の特務警察に計画は察知されていた。特務の執拗な追撃や策謀により、ついにリーダーのチャンが特務に捉えられる。危機的状況に追い込まれたチームを救ったのは特務の幹部のひとり、周乙(ジョウ・イー)だった。


それぞれが崖っぷちの状況で、危機を突破し、ミッションを完遂できるのか!?



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出演はスパイチームのリーダー、張憲臣をチャン・イーモウ監督の近作「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」で主演を務めた中国映画界の名優・チャン・イーが演じます。





特務で素性を隠してひとり行動するミステリアスな男、周乙(ジョウ・イー)を『私は潘金蓮じゃない』のユー・ホーウェイが、スパイとして母として、という難しい立場の王郁を『桃さんのしあわせ』のチン・ハイルーが、若いが任務をまっとうしようとする楚良の姿を好演するのは『1950 鋼の第7中隊』に出演したチュー・ヤーウェン。






そして、本作のアイコンとも言える、可憐でもの静かだが、芯が強い最年少の女スパイ・小蘭を演じるのが「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」でデビュー、みずみずしい演技も記憶に新しいリウ・ハオツン。コン・リー、チャン・ツィイーといった世界で活躍している中国を代表する女優たちを見出してきたチャン・イーモウ監督が送り出す期待の超新星です。




全編を通して雪に閉ざされたハルビンの街が舞台となっており、モノクロームの中にネオンサインが画面を彩る、独創的な世界を描いています。特務が迫る検問をとっさの機転でかわしたり、スパイ映画の定番とも言える列車の個室内での攻防戦、迷路のような市街地での銃撃戦、クラシックカーでのカーチェイス、とアクションは見どころ満載。




そしてそれだけではなく、スパイ戦に身を投じてでもこどもの元へという親の愛、離れ離れの任務の中でそれぞれのパートナーへの愛といったヒューマニズムが作品の中心に据えられているのは、やはりチャン・イーモウ監督らしいところです。


共産党と特務警察が争わなければならなかったという史実。どちらも歴史の中で翻弄された中国の同胞たちでした。こうした悲劇はいまだに世界にあることを思うと、厳しい現実が心に突き刺さります。この作品で監督が伝えたかった真の愛が詰まったラストシーンに思わず胸が熱くなりました。



【作品情報】
タイトル:『崖上のスパイ(がいじょうのスパイ)』
監督:チャン・イーモウ『初恋のきた道』『HERO』
出演:チャン・イー、ユー・ホーウェイ、チン・ハイルー、リウ・ハオツン、チュー・ヤーウェン
2021年|中国映画|中国語|シネスコ|5.1ch|120分|原題:悬崖之上|英題:Cliff Walker
提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム

公式サイト https://cliffwalkers-movie.com/


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