Velvet Buzzsaw Netflix Movie - 2019 Facebookページより |
Netflixのオリジナル映画『ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー』を見ました。2014年にヒットした「ナイトクローラー」のダン・ギルロイ監督とジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソのチームが再びタッグを組んだ作品です。「ナイトクローラー」はテレビ業界とジャーナリズムという、一般の方からすればあまりかかわりのない狭い業界を描いていたわけですが、本作の舞台は現代美術界という、考え方によってはますます狭い世界を題材に持ってきたと言えます。芸術を生み出すものではなく、芸術をメシのタネにしている評論家やギャラリストたちが、信じられない事態に巻き込まれていくサスペンスホラーです。
ウェブで高い評価を得ている辛口の美術評論家モーフ・ヴァンデバルト(ジェイク・ギレンホール)、成功した冷徹な女性画商ロドラ(レネ・ルッソ)といったアートをビジネスにするさまざまな人種が行き交うL.A.のアートシーン。ロドラのもとで修行している若いギャラリストのジョセフィーナ(ザウエ・アシュトン)は、ある夜帰宅すると同じアパートの住人で無名の老画家ディーズが死亡しているのを発見する。ジョセフィーナは彼が描いていた無数の絵画を発見し、その魅力に取りつかれる。モーフにその価値を確認すると、ジョセフィーナはこの絵をもとに伸し上がろうと画策するが、ロドラに見抜かれともにディーズの絵を売り出すことになる。ひと目見た人はディーズの絵の虜となり、一躍ディーズの絵は話題となる。その頃、ディーズの絵に関わり、儲けようと群がった者が次々と謎の死を遂げる。モーフも絵の中の人が動いていることに気づき、ディーズの絵は呪われていると……。
Attention! : ここから限りなくネタバレに近い記述があります。
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「ナイトクローラー」でギレンホールが演じたルイスは、道徳心など皆無、異常なまでの自信家で、それゆえに成功していくという狂気のパパラッチでしたが、今回のモーフはアート界で成功した知的な美術評論家ではあるけれども、ルイスほどの自信家でもなく、ルイスに比べたらおとなしいぐらい。狂気なのはむしろ金になると思った瞬間に豹変していくジョセフィーナをはじめとするギャラリストたちの方かも。
ストーリーは比較的単純で結末もほぼ想像通りではありますが、アート業界の独特な慣習や考え方を風刺するような捉え方、アート業界に住まう人々の異常性を揶揄したような登場人物の描き方など、一筋縄ではいかないホラーになっているあたりが興味深いです。
みどころは呪いの犠牲者たちのその死に様。絵から出てきた手に絵に引きずり込まれたり、こき下ろした作品に殺されます。巨大な球体にある穴に手を入れるとさまざまな体験ができるという(いかにありそうなインタラクション)作品の犠牲になったものは、作品のそばに横たわり、作品の一部と間違われ、そのまま展示されてしまいました。絵画から流れ出てきた色に体が侵食され、美しいと言っても過言ではない状態に体が彩られ、最後には絵の中に取り込まれしまうのでした。
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美術館やギャラリーで一度でもたった一人になった事がある人、その静けさの中に声や気配を感じたことがある人にはトラウマになるかも。Netflixにおいてストリーミング配信中。
NETFLIX映画『ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー』
2019年2月1日(金)より全世界独占配信。現在公開中
スタッフ
監督:ダン・ギルロイ
製作:ジェニファー・フォックス
製作総指揮:ベッツィー・ダンバリー
脚本:ダン・ギルロイ
撮影:ロバート・エルスウィット
キャスト
ジェイク・ギレンホール
レネ・ルッソ
トニ・コレット
ザウエ・アシュトン
トム・スターリッジ
作品データ
原題:Velvet Buzzsaw
製作年:2019年
製作国:アメリカ
上映時間:112分
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