年明け2014年1月18日(土)より、最新の現代美術作品を集めた『ポンピドゥー・センター・コレクション フルーツ・オブ・パッション』展が兵庫県立美術館において開催されます。ニューヨーク近代美術館と並んで、近現代美術における世界的な拠点として知られる、フランス・パリにあるポンピドゥー・センターのパリ国立近代美術館に所蔵されている最先端の現代美術作品を紹介する展覧会です。
ポンピドゥー・センター外観 © Centre Pompidou / Georges Meguerditchian |
今回、紹介される作品は同館が友の会からの寄贈によって取得した19作家25点で、イザ・ゲンツケン、エルネスト・ネト、ツェ・スーメイ、レアンドロ・エルリッヒらヴェネツィア・ビエンナーレといった国際的な美術展で評価を得ている、もっとも注目されている作家が登場します。さらにダニエル・ビュレンやサイ・トゥオンブリー、ゲルハルト・リヒターといった現代美術の巨匠と言える6人の作家の作品6点も合わせて紹介するものです。
《私たちはあの時ちょうどここで立ち止まった》エルネスト・ネト 2002 © Ernesto Neto Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI / Georges Meguerditchian - /Dist. RMN-GP |
《エコー》ツェ・スーメイ 2003 ©Su-Mei Tse |
たしかに興味深い展覧会なのですが、わざわざ神戸までいかなくとも東京での巡回を待っても遅くないでしょうと思った方。残念! 本展はポンピドゥー・センターと兵庫県立美術館との共同によりオリジナル企画で他館へ巡回する予定はないのです。
もっともどの作家も東京なら見られる機会もそう少なくないでしょうと思われるかもしれません。実際、僕もエスパス ルイ・ヴィトンでのエルネスト・ネト、水戸芸術館でのツェ・スーメイも見たし、と思ったのですが、イザ・ゲンツケンは未見だし、大好きなレアンドロ・エルリッヒはどんな作品が出てくるのだろう、それにダニエル・ビュレンの「二度、繰り返すことはない」はどんなんなるんだろうとか考えると、やっぱり行くしかない!と思ってしまうのです。
それにポンピドゥー・センターの友の会という、アマチュアながら間違いのない眼力を持った美術愛好家のみなさんが太鼓判を押した作品ばかりをこれだけ一同に会した展覧会はそうはないだろうと思います。
《無題》サイ・トゥオンブリー 1969 © Cy Twombly Founation Photo © Centre Pompidou, MNAM- CCI / Philippe Migeat / Dist.RMN-GP |
また、開催初日の翌日、1月19日(日)には同館ミュージアムホールにおいて行われる、ポンピドゥー・センター国立近代美術館長のアルフレッド・パックマンさん、サンフランシスコ近代美術館長のニール・ベネズラさんという、アートシーンのキーパーソンのみなさんが登壇する国際シンポジウム「あさっての美術館」も見逃す訳にはいかないだろうと思います。
ところで、サブタイトルになっている「フルーツ・オブ・パッション=情熱の果実」の意味ですが、これは本展の中核をなす25点の作品が2002年から始まった国立近代美術館友の会の「現代美術プロジェクト」によって収蔵された作品から選ばれたもので、友の会のメンバーとポンピドゥー・センターの「情熱の果実」が結実したものだからという事です。
国立近代美術館友の会(le Societe des amis du Musee national d`art moderne)とは1903年にリュクサンブール美術館を支援するために生まれた組織をベースに設立されたもので、当時は100名あまりのメンバーでしたが、現在では900名ほどの組織になっています。また、その友の会において現代美術を充実させる事に特化したグループが現代美術プロジェクト(le Project l`art contempora/略称:PAC)で、60名ほどのメンバーが作品購入に関わっています。
日本の美術館支援において、こうした組織を持つのは考えにくいものですが、自分たちがお金を出して大いに口も出す事で、地元の美術館が充実する事に興味を持つようになったり、よりよい作品の収集に積極的に関われば、延いてはその地域の文化向上に繋がるのかもしれません。
彼らの “情熱の果実” がどういった形で結実したのか、お正月の神戸で目にしてはいかがでしょう?
《無題》イザ・ゲンツケン 2006 © Isa Genzken/Courtesy Galerie Daniel Buchholz, Cologne/Berlin Photo © Centre Pompidou, MNAM- CCI / Georges Meguerditchian / Dist.RMN-GP |
《作業場》ファラー・アタッシ 2011 © Farah Atassi Photo © Centre Pompidou, MNAM- CCI / Georges Meguerditchian / Dist.RMN-GP |
《ボーブールの雌猫》ジェイソン・ローズ 2004 © The Estate fo Jason Rhoades Photo © Centre Pompidou, MNAM- CCI / Georges Meguerditchian / Dist.RMN-GP |
会期:2014年1月18日(土)〜3月23日(日)※月曜日は休館
会場:兵庫県立美術館 企画展示室
開館時間:10:00〜18:00 ※金・土曜は夜間開館(20:00まで)※入場は閉館の30 分前まで
観覧料:一般1,300円、大学生900円、高校生・65歳以上650円、中学生以下無料
主催:兵庫県立美術館、ポンピドゥー・センター、読売新聞社、美術館連絡協議会
後援:在日フランス大使館/ アンスティチュ・フランセ日本、兵庫県、兵庫県教育委員会、神戸市、神戸市教育委員会、Kiss FM KOBE
協力:エールフランス航空、NEC ディスプレイソリューションズ株式会社、ホテルオークラ神戸