「即位礼正殿の儀」で使われた「高御座」(左)と「御帳台」 |
『高御座と御帳台』がトーハクで公開
東京国立博物館で開催されている特別公開『高御座と御帳台』を観覧してきました。
令和元年10月22日、天皇陛下が即位を公に宣明される「即位礼正殿の儀」が行われました。本展では儀式が行われた皇居・宮殿の正殿松の間に置かれた高御座(たかみくら)と御帳台(みちょうだい)を一般参観に供するために展示されています。
高御座は古代から天皇の即位の儀式に御座として用いられてきており、御帳台は近代以降、皇后の御座として用いられるようになりました。中には今回の「即位礼正殿の儀」のために製作されたと思われる方もいるかもしれませんが、今回、用いられたものは、大正天皇の即位の際に製作されたもので、京都御所の紫宸殿(ししんでん)に置かれており、今回は平成の際と同様、皇居に移設して用いられました。
高御座は、朱塗りの高欄を巡らせた黒漆塗りの継壇(つぎだん)を基壇に、八角形の床板を2段に重ね、8本の円柱が八角形の蓋(きぬがさ)と呼ばれる屋根を支えるつくりになっています。
大鳳が1羽、小鳳が8羽の合わせて9羽の鳳凰の像が蓋の上に載っています |
内部には御倚子(ごいし)があり、 左右には剣璽と国璽および御璽を置く案(あん)と呼ばれる小卓があります |
継壇には麒麟や鳳凰などの鮮やかな装飾が施されています |
さまざまな装束にも注目
この度の「即位礼正殿の儀」では、高御座と御帳台と同様、列席者の服装も注目されました。
現在、皇族の方々は通常は私達と同様にカジュアルな洋装で、皇室内の行事でもフォーマルな洋装で、女性皇族もローブ・デコルテと呼ばれる洋装のドレスであることがほとんど。伝統的で雅やかな装束はテレビドラマや歴史ドキュメントでみるぐらいしかなかったので、本当の本物を見ることができる貴重な機会と言えました。
そうしたことから、本展では天皇陛下がお召しになられた黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)の御束帯(ごそくたい)、皇后陛下の五衣・唐衣・裳(おんいつつぎぬ・おんからぎぬ・おんも)も観覧できるのを期待していたのですが、さすがにこれは公開されていませんでした。ただし、儀式に並んだ威儀の者や威儀物捧持者(いぎものほうじしゃ)が着けた装束が公開されました。
文官の装束である束帯(左)と女官の装束である五衣・唐衣・裳 |
女官の装束で手にしているのが檜扇(ひおうぎ) もっとも上に着ている綠色の衣が唐衣 朱から赤へとグラデーションになっている衣が五衣 |
腰から後ろに垂れて引いているのが裳 裳の柄は海賦(かいふ)文様の一種だろうか? |
武官=威儀の者の装束 |
3月には京都御所で公開
なかなか拝見できるものではないので、貴重な機会と思い、観覧してきたのですが、来場者は年配の方が中心だろうと思っていたのですが、思った以上に若い方や海外の方も多く、広く興味を持たれているのだな、と感じました。
本展そのものは素晴らしい展示でしたが、これほどの展示物なので、可能なら皇居の一部に別に展示空間を設けての公開なら、よりリアルに感じられたのではないかなと思いました。3月に行われる京都御所での公開で参観するのもよいかも。
本展は特別に総合文化展とは別に無料で公開されているため、本展のみを観覧する場合は、正門で「特別観覧パス」を受け取って本館に進み、5室から観覧します。展示室前では本展のために制作された案内冊子が無償配布されていますので、お忘れなく。
また、平成館企画展示室では特集「天皇と宮中儀礼」が開催されていますので、あわせてぜひ。なお、こちらの観覧には総合文化展料金が必要になります。
東京国立博物館での公開は1月19日(日)まで。3月1日(日)〜22日(日)には京都御所で公開されます。
正門でパスを受け取って観覧します。パスは帰りに正門にある返却箱に戻します。 記念に持って帰ることもできそうでしたが…。 |
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