2018年10月28日

圧巻の《唐招提寺御影堂障壁画》。清らかで静謐な東山魁夷の世界:『生誕110年 東山魁夷展』国立新美術館


京都での展示が話題になっていた『生誕110年 東山魁夷展』のプレス内覧会に行ってきました。戦後日本を代表する、まさに国民的な画家・東山魁夷の生誕110年を記念した大規模回顧展であり、東京では10年ぶり、京都では実に30年ぶりの個展です。

なんと言っても、大きな目玉は東山魁夷の画業の集大成ともいうべき大作《唐招提寺御影堂障壁画》が特別出品されたことでしょう。本来なら奈良まで行かなければ体験し得ない、御影堂を再現したかと錯覚するような規模での展示であり、まさに圧巻。

もちろん、目玉はそれだけではありません。東山魁夷の画家としての出発点ともなった日展での特選を受賞した《残照》、初期の代表作《道》、CMなどでも使われた長野・御射鹿池の自然を描いた《緑響く》など、名作ばかりが並ぶとてもとても贅沢な展覧会です。

 





アートといえば現代美術一辺倒だった僕にとって、日本画に向かい合う以前から東山魁夷は特別な存在でした。子どもの頃に父に見せられた画集で知り、それから数年後、長野に旅した際にたまたま立ち寄った長野県信濃美術館で、あの清らかで澄んだ色彩、深い情感に満ちた静謐な景色に、実際に目にしてからは、僕の中では別格の存在となりました。

たしかに《唐招提寺御影堂障壁画》は圧巻だし、まるで自分が荒波を目前にしているかのような迫力がありますが、それでも僕にとっての東山魁夷はやはり《残照》や《緑響く》なんですよね。自然と真摯に向き合い、深い思索を巡らせて紡がれただろう、この限られた小さな(障壁画と比べてという意味で)四角の枠の中に息づく完璧な世界に心奪われてしまうのです。



  『生誕110年 東山魁夷展』
  会期:2018年10月24日(水)〜12月3日(月)
  会場:国立新美術館(乃木坂/六本木)
  http://kaii2018.exhn.jp

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