2019年4月28日

MUSEUM PROFILE 03:宮内庁三の丸尚蔵館/日本美術の名品を収めた、皇室ゆかりの美術館

皇居東御苑にある「宮内庁三の丸尚蔵館」

『宮内庁三の丸尚蔵館』(以下、三の丸尚蔵館)は、皇室に代々受け継がれた絵画・書・工芸品などの美術品類が平成元年(1989年)6月、国に寄贈されたのを機に、これら美術品を環境の整った施設で大切に保存・管理するとともに、調査・研究を行い、併せて一般にも展示公開することを目的として、平成4年(1992年)9月に皇居東御苑内に建設され、翌年11月3日に開館しました。


平成8年(1996年)10月には故秩父宮妃のご遺贈品、平成13年(2001年)4月に香淳皇后のご遺品、平成17年(2005年)10月に故高松宮妃のご遺贈品、さらに平成26年(2014年)3月には三笠宮家のご寄贈品が加わり、現在約9,800点の美術品類を収蔵しています。


三の丸尚蔵館は、吹上御所や宮殿、宮内庁庁舎などがある吹上御苑ではなく、皇居敷地内の東側を占める「皇居東御苑」にあります。皇居東御苑とは旧江戸城の本丸、二の丸、三の丸の一部を皇居付属庭園として整備し、昭和43年(1968年)10月から公開しているものです。入園には簡単な手荷物検査があるだけで、だれもが気軽に入園することができます。入園するには大手町のオフィス街に面した「大手門」から入ることができます。


皇居東御苑に入園する際の最初の入口となる「大手高麗門」
ここで警備の方による手荷物検査を受けます。
大手高麗門をくぐり振り返ると大手町のオフィスビル街が見えます。入るときは一体、いつの時代のなのだろう、と思いますが、振り返るだけで瞬時に現実に引き戻されます。
大手高麗門の先にはもうひとつの門があります。こちらは「大手渡櫓門」。大手門は高麗門と渡櫓門の二つの門からなっています

皇居東御苑に入ってすぐの場所にある施設が三の丸尚蔵館です。皇居東御苑、三の丸尚蔵館ともに入場無料です。いずれも公開時期、開館時間、休園日/休館日が通常の美術館と比べて、公開日数も限られ、開館時間も午前9時から午後3時台〜4時台(時期によって異なります)と早いので余裕を持って入園/入館するとよいでしょう。

三の丸尚蔵館には日本美術を代表する作品が数多く所蔵されていますが、中でも人気の高いものとしては伊藤若冲〈動植綵絵〉、狩野永徳/狩野常信〈唐獅子図屏風〉、酒井抱一〈花鳥十二ヶ月図〉といった誰もが思い浮かべることができる名品があります。

主な収蔵作品

ただし、これらの作品が常に展示されているわけではありません。多くの美術館と同様に企画展の形でテーマに沿って作品が展示されています。現在、開催されている企画展ならびに今後予定されている企画展は以下のとおりです。

◯第83回展覧会「慶びの花々」
会期:令和元年(2019年)5月3日(金)~6月30日(日)
※展示替につき5月27日(月)~5月31日(金)は休館

◯第84回展覧会「正倉院宝物-保存と復元の歴史」(仮称)
会期:令和元年(2019年)7月13日(土)~9月1日(日)
※展示替につき7月1日(月)~7月12日(金)は休館

以降の展覧会については「三の丸尚蔵館 休館日カレンダー」をご確認ください。


大手渡櫓門をくぐった左手に「皇居東御苑管理事務所」があり、こちらの発券所でプラスチックのようなもので出来た入構券(写真中央)を受け取っていよいよ皇居東御苑に入場します。この入構券は帰りに返却するものですので、紛失しないように要注意です。
管理事務所のすぐ向かいに「宮内庁三の丸尚蔵館」があります。平屋のように見える建物で、多くの美術館と比較すると決して大きな施設ではありませんが、広大な皇居東御苑の一施設であることを考えれば十分な設備と言えます。
お邪魔した4月は先代の天皇陛下、皇后陛下(現在の上皇陛下、上皇后陛下)がお詠みになった和歌などにちなんだ「御製・御歌でたどる両陛下の30年」が行われていました。会場には写実絵画の第一人者である野田弘志さんが2018年に描いた天皇皇后両陛下の肖像画も展示されていました。残念ながら三の丸尚蔵館は撮影禁止です。
皇居を訪れる際にはあらかじめ「宮内庁参観音声ガイド 宮内庁公式アプリ」をダウンロードしておくとよいでしょう。敷地内には案内板などもありますが、あれば役に立つかもしれません。

三の丸尚蔵館は皇居東御苑においてはほぼ入り口に位置しています。ここから更に広大な皇居東御苑の敷地内に進んでいくと、天守台や番所、富士見櫓、諏訪の茶屋、松の大廊下跡といった江戸城のなごりに触れることができます。ぜひ、三の丸尚蔵館とあわせて訪れることをおすすめします。


同心番所。江戸城にあった警備見回りなどの警備に務めていた下級役人の「同心」が詰めて、登城者の監視にあたっていた。
百人番所。本丸への道を守る中之門に向き合って設けられた詰所。甲賀組、伊賀組、根来組、二十五騎組という4つの鉄砲百人組が昼夜交代で警備していました。なんと各組20人の与力と100人の同心で構成されていました。
本丸中之門石垣。ここには本丸へと通じる中之門がありました。この石垣は江戸城の中でも最大級の巨石で築かれています。
本丸大芝生。中之門から急な坂を登って言った先には広がっている広大な敷地が江戸城本丸があった場所です。いまは当時の建物はなく、敷地の多くは芝生広場となっています。江戸幕府の中心があった場所でピクニックをしているのはなんとも不思議な光景です。
富士見櫓。かつての江戸城には多くの櫓がありましたが、いまは伏見櫓、巽櫓、そしてこの富士見櫓の3つのみとなっています。富士見櫓からは眺めがよく、天守の代用としても使われ、将軍が富士山を眺めていたと言われています。
[開館時間]
・3月1日~4月14日 9:00~16:15(入館は16:00まで)
・4月15日~8月末日 9:00~16:45(入館は16:30まで)
・9月1日~10月末日 9:00~16:15(入館は16:00まで)
・11月1日~2月末日 9:00~15:45(入館は15:30まで)

[休館日]
休館日カレンダーを参照
・展覧会期間中の毎週月曜日,金曜日
ただし、天皇誕生日以外の「国民の祝日等の休日」は開館。
なお、月曜日が休日で開館する場合は,翌火曜日は休館。
・展覧会の準備期間
・年末年始(12月28日~翌年1月3日)
・行事の実施,その他やむを得ない理由のため支障のある日

[アクセス]
大手門(入門してから約100メートル)
地下鉄各線の大手町駅(C13a出口)から徒歩約5分
JR東京駅(丸の内北口)から徒歩約15分
※平川門、北桔橋門(メトロ東西線竹橋駅)からも入館できます。

[問い合わせ]
宮内庁ホームページ http://www.kunaicho.go.jp
三の丸尚蔵館 http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/sannomaru.html

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