2013年11月7日

アップル新社屋をデザイン。              ノーマン・フォスター卿のドキュメンタリー公開に

モダニズムのモーツァルト、ロンドンをガラスの都市に変えた建築家。いずれもイギリスの建築家、ノーマン・フォスター卿に冠されたものです。78才で世界を飛び回るフォスター卿がいま手がけているのは、世界が忘れる事ができない地に立つTwo World Trade Center、そしてアップルが本拠地のクパチーノに建設を予定している新社屋、Apple Campus2でしょう。

大切なのは、物としての建物ではない。
私の死後も残る哲学がないと。
未来へと続く、生きた哲学のデザイン。
それが何より難しいし、実現出来たら誇らしい。
ノーマン・フォスター

ドイツ連邦議会新議事堂・屋上ドーム(1992年修復完了)

フォスターのドローイング


この最も注目されている建築家のひとり、ノーマン・フォスターの建築人生を追ったドキュメンタリー映画『フォスター卿の建築術』が、2014年1月3日より渋谷アップリンクにおいて、さらに順次全国公開されることになりました。


ドキュメンタリー「フォスター卿の建築術」は2014年1月3日公開


世界貿易センタービルの跡地に建設されるTwo World Trade Center(2015年完成予定)

フォスターが手がけるApple Campus2。カリフォルニア州クパチーノ市議会で上映されたプレゼン動画で、スティーブ・ジョブズから「ノーマン、手伝ってほしい事があるんだ、といわれその3週間後に現地を訪れた」と依頼があったことを披露。「最初から円形の建物を考えていたのではなく、だんだんそうなっていった。いくつもモデルを作り、何度もプレゼンを重ねる中で生まれたものだ。その徹底したプロセスは今も続いている」と語っており、徹底した論議を重ね、正解を見い出していくジョブズらしいプロセスがフォスターとの間にもあった事がうかがわれます。当初は2015年には完成の予定でしたが、より完成度を高めるために、現在は2014年度の着工を目指しているとか。ちなみに、残念ながら本作ではApple Campus 2は登場しません。


Apple Campus2の完成予想図

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フォスターで僕が最初に思い浮かぶのは、やっぱり出世作の香港上海銀行・香港本店ビル。これは超高層ビルを太い鋼鉄フレームで支える構造が剥き出しになった、いわゆるハイテク建築と言われるもので、当時はフォスターと共に事務所を構えたリチャード・ロジャース(ロンドンのミレニアムドーム、日本テレビ放送網汐留本社など)、レンゾ・ピアノ(関西国際空港ターミナルビル、メゾンエルメス銀座など)とともに、ハイテク建築御三家として世界に知られる事になります。

香港上海銀行・香港本店ビル(1985年竣工)


その後、彼が手がけた東京・御茶の水に立つセンチュリータワーは香港上海銀行ビル同様、構造をファサードに露出させたものでありながら、それそのものは装飾的、様式的でポストモダンに近いものであったと思います。以降、フォスターの手がける建築は、ドイツ・フランクフルトのコメルツ銀行本店ビルや、MBFタワー(マレーシア・ペナン)やロンドン市庁舎ビル、さらにガーキンと呼ばれるスイス・リ本社ビル(ロンドン)のように、エコロジカルなものへと変化しました。


センチュリータワー(1991年竣工)

華やかな経歴に彩られているものの、2000年にロンドンに建設・開通したミレニアムブリッジは大きな横揺れの発生で3日後に閉鎖(2年後に再開通)されるという不名誉も受けています。


僕はフォスターを建築を通してしか知りえないわけで、フォスターがハイテク建築からポストモダン、そして最新のモダニズムへと変遷したその理由、それを支えてきた建築哲学に触れることができるかと思うと、いまから公開が待ち遠しいです。本作ではバックミンスター・フラーとの会話や、リチャード・ロジャース、リチャード・ロング、蔡國強、U2ボノといったフォスターに関わりの深い人々へのインタビューもあり、これもまた楽しみです。

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Apple Campus 2:
宇宙船を思わせる巨大な円形の特徴的なデザインと、2011年当時にクパチーノ市議会への提示をスティーブ・ジョブズみずから行い、ジョブズの肝いりで進められていた事から、大いに話題になりました。ヒューレット・パッカード社から取得した98エーカーを含む150エーカーの土地に建設されるもので、中庭を円で囲むように曲面ガラスで構成された4階建の建物。1万3000人の従業員が勤務し、3000人収容可能なホールも用意されるそうです。自家発電施設も建設され、100を超える電気自動車のチャージング・ステーション、果樹園を含む6000以上もの木が植えられる、フォスターが手がけるだけに、エコロジカルな発想も盛りだくさんな次世代のオフィスとなりそうです。



クパチーノ市議会でのスティーブ・ジョブズのプレゼンテーション


映画『フォスター卿の建築術』
2014年1月3日(金)より渋谷アップリンクほか全国順次公開

監督:ノルベルト・ロペス・アマド&カルロス・カルカス 
出演:ノーマン・フォスター、バックミンスター・フラー、リチャード・ロジャース、リチャード・ロング、他(イギリス/2010年/英語/74分)
配給:アップリンク


    

2013年11月6日

あの、Photoshopの魔術師(いろんな意味で)、 ラッセル・ブラウン氏が東京に降臨


ちなみに文中にある記事とは以下のような記事です。古いなぁ~。ってことは僕も古いけど、ブラウンさんも相当古いってことだよなぁ()

ITmedia2004年01月22日

ASCII.jp2006年12月12日

ASCII.jp2007年11月22日


8日のキーノートに参加できたら、レポートします!

2013年11月5日

クリスチャンと呼ばれたライオン

ベンツのコンバーチブルに乗ったライオン。この写真をいつどこで見たかは忘れましたが、随分と昔に見たことがあり、この写真は一体なんなんだろう、と思ったのを強く記憶しています。



ライオンと一緒にベンツに乗っているのはオーストラリア人青年のアンソニーとジョン。1960年代の終わり、彼らは旅先のロンドンの高級百貨店ハロッズで一頭の子ライオンに出会い、心を奪われます。二人はその子ライオンを買い取って、クリスチャンと名付け、アンティーク家具店に間借りし、二人と一頭の共同生活がはじまります。気立つがよく、頭もいいクリスチャンは町の人気者になり、テレビに出たり、有名人が会いにきたりと楽しい日々が続きました。

夢のよう日々も、いつかは終わりを迎えなければなりませんでした。ふたりはクリスチャンを彼のふるさとに返す決心をします。二人と一頭はアフリカのケニアへと渡り、「野生のエルザ」で知られる野生保護動物活動家のジョージアダムソンさんの手を借り、クリスチャンを野生に帰すリハビリを行い、彼はアフリカの大地へと放たれました。

それから一年。二人はもう一度クリスチャンに会いたいと、再びケニアを訪れます。危険を承知の行動でしたが、二人がクリスチャンに会いたい気持ちは抑えられません。二人はクリスチャンに出会えたのでしょうか?


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二人と一頭を追ったドキュメンタリー映画「CHRISTIAN THE LION」というDVDがあるのですが、残念ながら現在、日本では手に入らないようですが、YouTubeでダイジェストの映像を見ることができます。日本語を添えた動画もあります。





もっともいずれも相当端折っているので、じっくりご覧になりたい方は、アニマルプラネットが周囲の人々にもインタビューしたコンテンツがありますので、こちらをおススメします。


A LION CALLED CHRISTIAN(アニマルプラネット)

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動画をご覧になった方には説明は不要とは思いますが、クリスチャンに会いにケニアに行ったアンソニーとジョンはどうなったのでしょうか。

もうクリスチャンは二人を憶えていないだろう、という周囲の忠告を押しのけ、彼らはボスとして群れを率いるクリスチャンが住むエリアに入っていきました。名を呼ばれると岩陰から姿をあらしたクリスチャンは、彼らのもとに走り寄り、飛びつき、抱きついてきました。クリスチャンはふたりの事を忘れてはいなかったのです。さらにクリスチャンは野生に返ってから出会ったガールフレンドを二人に紹介しました。

翌年も彼らはクリスチャンに会いにケニアに行きましたが、立派に成長したクリスチャンは姿を見せたものの、以前のように二人に無邪気に飛びつくことはありませんでした。さらにその次の年、ジョンだけがケニアを訪れましたが、もうクリスチャンの姿を見ることはなかったそうです。

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40年を経た数年前、この二人の青年とライオンの物語は、YouTubeを通じて世界中で再び話題となり、多くの人々を感動させることになりました。





2013年11月4日

第26回東京国際映画祭を振り返って

第26回東京国際映画祭(TIFF2013)が終了して一週間が過ぎました。今年はこれまでのTIFFとは大きく異なるオープニングになったように感じました。

毎年恒例となっているグリーンカーペット。昨年までは六本木ヒルズの南側を貫くけやき坂にエコを象徴するリサイクル素材で製作されたグリーンカーペットが敷かれ、世界中からやってきた俳優、映画監督ら映画人たちが、坂下の六本木六丁目交差点に降り立ち、坂をのぼりながら沿道に集まった映画ファンの声援や握手やサインの求めに応じる。まさに映画祭のオープニングを飾るに相応しいイベントで、一般のみなさんと同様にプレスエリアから取材するプレス関係者も、その非日常を大いに楽しんでいました。

ところが今回のグリーンカーペットはけやき坂には敷かれず、六本木ヒルズの敷地内となる六本木ヒルズアリーナのみで行われました。アリーナのみにレッドカーペットを敷いて行うイベントは映画のプレミアイベントとして、頻繁に行われていて比較的珍しくなくなっていて、世界に向けて行うカーペットイベントとしてはなんとも地味で華やかさに欠けるものとなってしまっていたのは大いに残念でした。

例年はプレスエリアの一番下、つまり坂下にもっとも近く映画人を最初に撮影できる、芸能専門のプロカメラマンのみなさんが陣取るポジションにいて、とっても美味しいショットをおさめることができ、時には女優さんに目線をバッチリいただくこともできていました。が、今年はステージ前のプレスエリアで、なんとも動きのない写真しかおさめることができませんでした。これにはおなじプレスエリアにいたカメラマンの方が、「これじゃあ、オフィシャルと同じ絵しか撮れねぇじゃん」とボヤいていたのには、僕も大変同感でした。

それでもグリーンカーペットに登場した、長澤まさみさんや栗山千明さんといった女優のみなさんが大いに映画祭の花を添えていました。






男性陣も若手のイケメン俳優、とりわけ岡田将生さんがふたつの作品でウォークして大活躍でしたが、どうも登壇したみなさんはいまひとつノっていない、もしくは緊張しているというか、居心地の悪いような感じが伝わっていました。その理由がイベント終盤にわかりました。




世界の映画界のエグゼクティブであるフランシス・フォード・コッポラ監督が来日しているにも関わらず、中盤の登場という扱いだったのは、この方が登壇するためだったのかもしれませんね。もちろん、安倍総理の登壇は集まった映画ファンにはサプライズとして受け入れられ、大いに盛り上がりました。

しかし、2週間以上を経て冷静に考えると、けやき坂でのイベントを取り止めたのも、警備上の理由とかが考えられそう。例年はグリーンカーペットにはプレスIDは必要なかったにも関わらず、今年はIDなしでは入れないという扱い。これも、警備上の理由だったのかも。もちろんこれは僕の憶測に過ぎませんが……。

いずれにしても、映画ファンのための映画祭であるのに、百歩譲って政治家が登壇するのはいいとして、トリを務めるのはやはり映画人であるべきではないかと感じます。来年は例年通りのグリーンカーペットに戻していただいて、政治家のみなさんは劇場でのオープニングセレモニーのみの登壇とかにしていただければなぁと。

2013年11月3日

容量無制限のクラウドストレージ。       Bitacasaって使える!?





一部で話題になっている容量無制限のクラウドストレージサービスの「Bitcasa Infinite Draive」ですが、11月1日からまずは無料の10GB制限のサービスを試用しています。

現在、外出時に使用しているメインマシンのMacBook Airの主要データのバックアップ、自宅で平行作業用に使っているMacBookのデータの中から外出時に必要になる可能性のあるフォルダをバックアップしています。MacのクライアントソフトとiOSのクライアントアプリを使ってみていますが、どちらも快適に動作しています。

MacBook Airからアクセスしてみていますが、いまのところ、無線LANで接続されている状況ではノンストレスでデータの閲覧ができています。動画のデータも快適とまではいきませんが、速度さえ確保されていれば、スムーズに閲覧できています。メディアストリーミング機能があるためか、QuickTimeでは再生できない動画データもそのまま再生できています。

今後はスマートフォンからのアクセスに支障がないか、外出先で確認したいと思いますが、もっとも心配なのはこのあたりですね。サービスそのものに支障はなくとも、通信環境次第でサービスが使えなくなる可能性があるのは、どのストレージサービスも同様なんですけどね。

Google Chromeの拡張機能、Bitcasa Everywhereも使ってみましたが、画像を直接、Bitcasaにダウンロードできる機能はユニークですね。でも、あまり画像をダウンロードして使う事もないし、ダウンロードした場合はデスクトップにおいてなんらかの作業にすぐに使ったりするので、もうちょっとなんらかの目的がないと使わないかも。そもそもメインブラウザがSafariなので、このサービスそのものがSafariに実装されないとわざわざChromeを立ち上げて使う可能性は低いかなぁ。

ところで、現在は10GBの無料サービスを試用していますが、空き容量を見ると562.95TB!となっています。これって無制限サービス(年額99ドル/約9,800円または月額10ドル/約990円)の契約をした場合、これだけの空き容量が確保されているってことなんでしょうか?




容量無制限って響きは魅力的ですが、10GBで無料なら100GBで年額1,000円ぐらいでやってくれるといいなぁ、とか思ってみたり。

11月の「八重の桜」オープニング・コラボレーションは「テマヒマ展」のあの映像




テマヒマ展とは昨年、21_21 DESIGN SIGHTで開催された展覧会で、同展をレポートしたエントリー『「テマヒマ展<東北の食と住>」で触れる、知られざる東北の手業 ー 21_21 DESIGN SIGHT』がありますので、詳しくはそちらをご覧ください。テマヒマ展の映像や展示の一部は21_21 DESIGN SIGHTで現在、開催中の「日本のデザインミュージアム実現に向けて展」で見ることができます。


こういうタイトルになっていますが、実際のところ、21_21 DESIGN SIGHTが
オープン以来、開催されてきた展覧会を紹介する内容になっています。

こんな感じで映像も一緒に見られる、ミニ「テマヒマ展」状態で展示されています。

  企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」
  会 期: 2013年10月25日(金)〜2014年2月9日(日)
  休館日: 火曜日(12月24日は開館)、年末年始(12月27日 - 1月3日)
  開館時間:11:00 - 20:00(入場は19:30まで)
  入場料: 一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
       *15名以上は各料金から200円割引
       *障害者手帳をお持ちの方と、その付き添いの方1名は無料

2013年8月27日

食とアートの「東北レストラン鉄道」


JR東日本の『TOHOKU EMOTION』ってプロジェクト、なんだか知れば知るほど、スゴい。ってか、こういうのをやりたいと思ってます。食とアートと旅って、僕の好きな要素が全部詰まってます。

TOHOKU EMOTIONは、東北の伝統工芸をインテリアのモチーフとした特別仕立てのレストラン列車です。タネ車はキハ110系の3両編成で、東北各地のローカル路線で活躍している気動車です。車内はレストランをそのまま再現したような作りで、1号車はコンパートメント個室、2号車はライブキッチン、3号車はオープンダイニングという構成です。




この特別な空間から、八戸〜久慈間の北三陸の美しい景色を楽しみながら、東北の食材に舌鼓を打つという、これまでにない趣向の列車です。久慈といったら、大人気の「あまちゃん」のロケ地(劇中では北三陸市)。ウニ、アワビといった海の幸はもちろん、いわて短角牛の産地もすぐそばです。2013年10月から2014年3月まで不定期運行されます。

ところでこのプロジェクトのメンバーがすごいです。

専用列車のエクステリア・デザインが奥山清行(僕的にはヤンマーのデザインは残念でしたが)さんとか、音楽は半沢武志(FreeTEMPO!)さんで、グラフィック・デザインはタイクーン・グラフィックス

何と言っても、アート・インスタレーションを十和田市現代美術館のキュレーションにより光のアーティスト、高橋匡太さんが務めているそうです。列車内という限られた空間でどのようなインスタレーションを見せてくれるのか楽しみ。

肝心の食の方は銀座アロマフレスカの原田慎次さんとの事。東北の地の食材でどんなイタリアンが楽しめるんでしょうか? 八戸駅発着の往路ランチコースが7,000円、復路デザートブッフェが4,000円、ランチ・デザートブッフェともに楽しめる往復利用だと割安の10,600円。都内発の新幹線利用の往復コースだと25,800円〜です。

考えれば考えるほど行ってみたい。

2012年12月3日

ユ、ユニコーン! ビスト邸にあったあのタピスリー『貴婦人と一角獣』が来春来日


機動戦士ガンダムUC[ユニコーン]/0096/Sect.1 ユニコーンの日」において、バナージ・リンクスがメガラニカの居住区にあったビスト家屋敷でカーディアス・ビストに邂逅する際、屋敷の豪奢な広間に飾られてあった一角獣を描いたタピスリーは実在します。



そのタピスリーは西暦1500年に制作された6面の連作『貴婦人と一角獣』で、パリ6区にあるフランス国立クリュニー中世美術館が所蔵しています。この「貴婦人と一角獣」が1974年にメトロポリタン美術館に貸し出されて以来、史上二度目のフランス国外での公開となります。

見事な千花模様(ミルフルール)に貴婦人、一角獣、獅子を中心にさまざまな動物が描かれた大作である同作品は、「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」の五感を表現した5枚と謎に包まれた「我が唯一の望みに」の6作からなっており、今回、この6面すべてがやってきます。さらに関連する彫刻や装身具、ステンドグラスなど、所蔵館の珠玉のコレクション40点が同時に公開されます。

ジョルジュ・サンドが賛美したことで広く知られる存在となったこのタピスリーは、作者不明なのですが、この地の有力者、Jean Le Viste(ジャン・ル・ヴィスト)が娘の婚儀の祝いの品として作らせたものだそうで、不明とされる「我が唯一の望みに」は「愛」や「結婚」を意味しているとされています。

獰猛なユニコーンを大人しくさせられるのは処女だけと言われており、こうした婚礼に関したものには、純潔の証としてユニコーンが描かれたりしているのかもしれませんね。そういう意味では、抑制の効かないバナージ=ユニコーンを抑えられ、救えるのはオードリー(=ミネバ)ってことなのか。

ところで、お気づきでしょうか? 制作依頼者の名前。まだまだいろいろとありそうだなぁ。

2013年4月24日から国立新美術館(東京・六本木)、7月27日から国立国際美術館(大阪・中之島)と巡回します。


2012年11月4日

おもしろいけど、なんだかなぁ。TOKYO DESIGNERS WEEK2012


今年も絵画館前で開催されたTOKYO DESIGNERS WEEK
先週今週はほんとにアート系、デザイン系のイベントが目白押しで参りました。とりわけこの時期にもっと注目されるのが『TOKYO DESIGNERS WEEK2012』なわけですが、今年もおもしろかったのは「学校作品展」。荒削りで完成度は低いんだけど、見てて楽しい。作っている側も楽しんでいそう。ラップで作ったハウスに学生がラップで作った帽子をかぶっているとか、木や竹で作った打楽器のような構造物に入って叩いて遊ぶとか、ボールで満たされた空豆のような形のハウスの中で遊ぶとか、特に外のエリアでの遊具っぽい作品が楽しめました。


目玉となった「伊藤若冲感性インスパイア作品展」は著名な作家が居並ぶ贅沢な展覧会ですが、いかんせん詰め込み過ぎの感が。「まぁ、これも若冲っちゃ若冲だけどなぁ」と無理矢理納得しないとだめな作品もあり、なんだかなぁ、と。もっともテーマとは関係なく、WOWや森野和馬さん、河口洋一郎さんの作品も見られて、それはそれでよかったですね。チームラボの作品もらしい感じでよかったのですが、来場者が歩くたびに作品が揺れる(投影しているプロジェクターが揺れてる?)のはちょっとお粗末。それとやはり一点でもいいから若冲のオリジナルがないってのは、いくらなんでも無理あるんじゃあ、と。


揺れる若冲はチームラボの作品

友人の岡田智博さんプロデュースによる「Design Next」の取り組みは面白いと思いました。個々の作品には触れませんが、実にユニークなアプリやウェブサービスを紹介していて楽しい。スマホ全盛のこの時代にあって、ソフトウェアの存在はデザインにおいても無視できないものであり、Design Nestに限らず、企業ブースでもアプリやソフトウェアにフォーカスしているところもあって、もっともっと注目されなければならないと思います。そういう意味では、このキツキツのスペースはないじゃないの?という感じも。来年に大いに期待したいです。

全体的にはあまりに詰め込み過ぎ、なのにあまりにカテゴリ分けし過ぎの感もあり、全体を見渡すプロデュース、ディレクションが仕上がっていないと強く感じました。もっとも、本展そのものが、きちんとテーマを持たせたものではなく、アート、デザインのフリマのようなものと考えれば、楽しめるんだろうな、と。だとしたら、この入場料金は高いよなぁと。

プレスとして一言言わせていただくと、今年もまたこのイベントの運営事情がよくわからない。プレスの問い合わせ先もわからず、例年、プレスで取材させていただいているのに、まったく事前の案内がない。告知活動も十分とは言えず、せっかくの内容にも関わらず、気がつきゃ終わってしまったイベントありました。最終日のDesign Nextのカンファレンスもスケジュールがあって見られないし。

なんだかなぁ。

なお、フォトアルバムをFacebookで公開していますので、そちらもあわせてご覧ください。

2012年10月24日

涙を語る映像、涙を映す言葉〜「Tears」に寄せて


『Tears』の元動画があった「Nikon Brand Story」はニコンのTumblr!

僕たちはこの1年半、何度、涙を流しただろう? もしかすると人生の中でもっとも泣いた時期だったと振り返る人もいるかもしれない。それだけ、悲しくつらい季節を過ごしてきた。涙は、人の感情を隠しきれずにむき出しにしてしまう。だからこそ、真の涙は貴重なのだ。

ちょっと前にYou Tubeで『Tears』という動画を見つけた。さまざまな国で、さまざまな人々が、さまざまな場面で、さまざま理由から涙をながす姿を映像で綴っているものだ。3人の作家が描く涙の映像は、涙を流す人々のそれぞれのカットはわずか数秒でありながら物語に溢れ、ドキュメントなのかドラマなのかわからない映像が真に迫ってくる。これは9月にドイツで開催された写真・イメージング分野での世界最大の見本市、Photokina 2012でニコンが公開したものだ。

[光を映す涙]
スウェーデン出身でいまはロサンジェルスでコマーシャルやミュージックビデオ、映画といった分野で活躍するアダム・ファーシが描いたのは「光」。ウェディングドレスの白と眩しい海辺の光を反射する波、暑く乾いた砂漠に降り注ぐ強烈な太陽、暗闇に儚げなランプの灯り、木漏れ日、街の灯り、リビングに優しく降り注ぐ日差し……。さまざまな光が描き出されており、その光に注がれるまなざしが印象的だ。





[真に迫る涙]
ロンドン在住のシネマトグラファー、ローラ・ベリングハムの映像は人の表情、とりわけ涙する目にフォーカスしている。涙する人を、これでもかというほど近い距離でとらえ、その表情そして瞳に迫る。彼らの表情、涙する瞳にはそれぞれの人生が色濃く映し出され、まるでドキュメンタリーのようなその映像から感情が強く伝わってくる。




[物語る涙]
シンガポールの撮影監督・フォトグラファーのデヴィッド・リーの作品はまさに映画だ。僕は台湾や中国をはじめとしたアジアの映画にひとかたならぬ思い入れがあるのだが、アジアの映画の多くは、ことさらに誇張した舞台を用意する事もなく、普通の人々が送る生活だったり、なんでもない人生を描く映画が多い。この映像はまさにそうしたアジア映画のワンシーンを切り取ってきたような印象。まるでオムニバスの映画を見ているかのような味わいを感じる。




3人の作家の作品を観て気づかされたのは、涙は悲しい時だけに流すのではないということだ。喜怒哀楽、すべての感情に涙は流される。考えてみれば、僕はこの1年半、悲しい時にだけ流す涙にしか接してこなかったかもしれない。

この映像に描かれているような事で、僕も涙した経験があった。生まれくるいのちに涙し、子どもの旅立ちに涙した。尊敬する先輩のハッピーなリタイヤに涙し、古い友人に偶然出会ってお互いの無事に喜ん涙し、ただただ純粋に昇ってくる朝日に涙したり……。もっともっと、悲しいだけではないさまざまな場面で僕たちは涙してきたし、これからもそうあるはずだ。

3つの映像をひとつにまとめて編集したのがニコン ブランドストーリー「Tears」だ。『Tears』に描かれたさまざまな涙する表情、それぞれに添えられているのは一文字の漢字だ。
そうだった。日本にはこれほど豊かに涙する感情を表す、素晴らしい言葉があったのだ。



Nikon Brand Story