「富士屋ホテルの営繕さん」は銀座のLIXILギャラリーで開催中 |
本展の目玉とも言える展示がこの朱赤の欄干。 本館のホテル入口にあるもので、営繕さんの仕事によるもの |
箱根・宮ノ下の『富士屋ホテル』は、明治11年日本初の本格的リゾートホテルとして開業した、日本を代表するクラシックホテルのひとつです。そのホテルの裏方として、建物の維持などさまざまな仕事をこなす「営繕さん」に着目した『富士屋ホテルの営繕さん -建築の守り人-』が銀座のLIXILギャラリーにおいて開催中です。
富士屋ホテルの和洋混交なスタイルの建物には高い人気があります。明治・大正・昭和と、建築家が介在せず、歴代社長のアイデアと地元の棟梁の腕により独特な建物が建てられてきました。それらの建築群は、同ホテルにおいて現役最古となる、堂々とした唐破風の玄関の本館をはじめ、千鳥破風の屋根が特徴的な花御殿、洋風建築の西洋館が登録有形文化財に指定されています。
1891年(明治24年)に本館が竣工した際に記念撮影された写真 |
残念ながら富士屋ホテルに宿泊したことはないのですが、何度か立ち寄らせていただき、その独特な空間を楽しませていただいたことがあります。月並みな言い方ですが、まさに和風であり、洋風でもあるエキゾチックな空間。すっかり洋風の生活が身についた現代の日本人にとっても、主たる客であった西洋人に喜ばれるように、明治大正の人々が創り出したことで、こうしたホテルの姿を形作ったのだろうと思います。
富士屋ホテルには「営繕さん」と親しみをもって呼ばれるスタッフがおり、ホテルの建築物の営造や修繕を行っています。「営繕」は施設管理課のセクションに属しており、仕事内容は木工事、左官、溶接、塗装など多岐にわたります。彼ら「営繕さん」の仕事により、富士屋ホテルは現在も創業当時の趣きを保っています。
その富士屋ホテルは2018年4月から大規模な改修「平成の大改修」がはじまり、創業以来初の2年間もの長期休業にはいりました。本展では、この機会に営繕の仕事の痕跡が残る様々な場面を取材し、富士屋ホテルを支える営繕の仕事を紹介しています。同時に歴史を受け継いできた同ホテルの魅力を紹介しています。
本展の目玉とも言える展示がこの朱赤の欄干。 本館のホテル入口にあるもので、営繕さんの仕事によるもの |
この欄干は実際にホテルで使われているものを移設して展示しています。欄干の装飾も見事 |
ホテルのフロント脇にあるコンシェルジュコーナーにある机。 これらの家具類もほとんどが営繕さん作 |
右の独特な彫刻は柱飾り。三代目社長山口正造の顔を模したもの |
花御殿で使われていたキーホルダー。 花御殿の部屋には花の名前がつけられており、その花がデザインされています |
メニューやチラシなどの印刷も営繕さんの仕事。写真は大正時代の時刻表 |
平成初期までは活版印刷も行われていたそうです。写真は活字 |
営繕さんの仕事場である作業小屋の様子 |
営繕さんの仕事道具 |
本展で展示されたものは、ホテルの改修後には復原されるものと思います。改修完了後にはぜひ現地を訪れて、どのように復原されたのか、また改修されたホテルでの営繕さんの仕事ぶりを見ることができたらと思います。
【開催情報】
『富士屋ホテルの営繕さん』展
会期:2018年12月6日(木)~2019年2月23日(土)
会場:LIXILギャラリー(京橋)
https://livingculture.lixil.com
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