《蕪に双鶏図(かぶにそうけいず)》の鶏が大胆にレイアウトされたキーヴィジュアル |
『若冲誕生』が会期延長して再開
新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、京都府の要請をにより臨時休館に入っていた福田美術館が5月23日(土)に展示を再開しました。3月28日(土)に開幕したものの、直後に休館になったため、休止になっていた『若冲誕生~葛藤の向こうがわ~』も再開となりました。
なお、6月21日(日)の会期終了予定でしたが、7月26日(日)まで会期を延長しての開催となります。これに伴い、次回展となる「大観と春草 ー東京画壇上洛ー」の会期も8月1日(土)~10月11日(日)に変更になりました。
同館では、展示再開にあたり、国際美術館会議(CIMAM)が公開した新型コロナウイルス感染症予防対策として美術館が注意すべき〈来館者の安全〉〈スタッフの安全〉〈施設管理〉〈パブリック・コミュニケーション〉に基づいて、対応を徹底するとのことです。以下のとおり、来館者への協力依頼内容が示されています。
[来館者への協力依頼内容]
●マスクもしくはそれに準じる物で口元を覆うこと
●入館の際、非接触体温計にて検温(37.5°C以上の方は入館不可)
●万一の場合連絡がつくようにするため入館時は居住地(○○市××区)、代表者氏名、電話番号を記入
●ソーシャルディスタンスの保持
●なるべく自身のスマートフォンでの音声ガイド利用
●混雑を避けるためオンラインでのチケット購入を推奨
来館を検討されている方は上記についてよくご理解いただいた上で来館されるようにお願いします。
新発見!《蕪に双鶏図》
若冲と言えば、鶏!とすぐ浮かぶだけあって、鶏をモティーフにした作品が目立ちますが、今回、その中でもとりわけ注目されているのが、2019年に新たに発見されたばかりの若冲30代の初期作品《蕪に双鶏図(かぶにそうけいず)》です。これまでは若冲が「景和」と名乗っていた時期に描いた《雪中雄鶏図》が最初期の作品とされていましたが、《蕪に双鶏図》はそれ以前のものと見られています。
30代の若冲は、23歳の時に継いだ家業の青物問屋が忙しいことだっただろうし、40歳で家業を弟に譲るまでの、絵師としての道を行くかどうかで苦悩した時期だっただろうことは想像に難くありません。技法的には未熟なところはあるものの、羽毛の一本一本まで細密に描かれ、若冲ならではの独特な感性が迸る表現の魅力的な作品です。
若冲と言えば、鶏!とすぐ浮かぶだけあって、鶏をモティーフにした作品が目立つ |
《群鶏図押絵貼屏風》 |
《蕪に双鶏図》(部分)[初公開] キーヴィジュアルにも使われている若冲30代の最初期の彩色画 |
初公開が目白押し
若冲の展覧会と聞けば、可能な限り足を運んでおり、かなりの作品数を見ていると思うのですが、ほとんどが眼にしたことがないものばかり。若冲ファンを自認する方も十分満足できる内容だと思います。
また、本展では池大雅、曽我蕭白、円山応挙といった若冲に影響を与えた同時代の画家たちの作品も数多く取り上げて(それもほとんどが初公開!)います。
新しい嵐山の愉しみ
福田美術館は昨年10月にオープンしたばかりの新しい美術館ですが、私はもう二度も足を運んでしまっている、とても素敵な美術館です。もとより素晴らしい美術館の多い京都ですが、まもなく開館する京都市京セラ美術館と並んで、福田美術館は京都の新しい魅力となると思います。
他ではお目にかかれない充実したコレクションと並んで素晴らしいのは、そのロケーションです。嵯峨嵐山と言えば、世界に知られた観光地。昨今は世界中の観光客が押し寄せ、必ずしもよい環境とは言いにくい状況ですが、福田美術館は大人が静かな時間を過ごせる数少ない場となっています。
とりわけ、庭ごしに渡月橋と桂川の川面を眺めることができるカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」での一杯は格別です。現在、休業していますが、6月1日より営業再開の予定です。なお、同店は東京・青山にある「パンとエスプレッソと」の姉妹店です。
とりわけ、庭ごしに渡月橋と桂川の川面を眺めることができるカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」での一杯は格別です。現在、休業していますが、6月1日より営業再開の予定です。なお、同店は東京・青山にある「パンとエスプレッソと」の姉妹店です。
右手に渡月橋を望むカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」 |
インフィニティプールのようになった池からの桂川 |
まだ気軽に旅ができる状況ではありませんが、ぜひこの夏、秋にも京都を訪れ、嵐山で日本の美と出会っていただければと思います。
福田美術館外観 |
【展覧会情報】
『若冲誕生~葛藤の向こうがわ~』
会期:2020年3月28日(土)〜7月26日(日)[休館日:火曜日]
[前期]3月28日(土)~ 6月29日(月)
[後期]7月1日(水)~ 7月26日(日)
※一部作品については途中入替えの可能性あり
会場:福田美術館(京都)
主催:福田美術館、京都新聞
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